サクラエビ価格急落 不漁前の水準に 需要減反映、店頭も廉価

 近年暴騰していた駿河湾産サクラエビの価格相場が、ここに来て急落している。20日朝の競りでは今秋漁期最安の平均価格約4万3千円(1ケース=15キロ)を記録。2019年春漁の平均価格12万円の約3分の1まで下落した。魚体が小さくなり、商品価値が下がる傾向にある12月にかけ、さらに安くなるとの観測も。同日は小売店の店頭にも廉価な商品が並んだ。

2018年春漁以降の深刻な不漁に陥る前の水準まで値下がりしているサクラエビ=20日午前、静岡市清水区のヒバリヤ新鮮市場高部店
2018年春漁以降の深刻な不漁に陥る前の水準まで値下がりしているサクラエビ=20日午前、静岡市清水区のヒバリヤ新鮮市場高部店


 同日朝の由比漁港と大井川港の高値は4万8千円、安値は3万6千円程度だった。平均価格とともに不漁に陥る前の2018年春漁以前の水準まで下落。関係者は「不漁と新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要自体が低迷している」との見方で一致する。
 静岡市清水区の「ヒバリヤ新鮮市場高部店」では、午前11時すぎ、398円(40グラム)や780円(80グラム)の商品が並んだ。担当者は「19年春漁では10グラム少なく、価格は3割増しだった」と振り返る。ただ、売り場のスペースは小さめだった。
 加工業者の男性(66)は「食材としての関心が薄れているのを感じる」と話す。まとまった量が確保できるか不透明で、商談が難しい。別の加工業者の男性(70)も「高値で買った在庫も抱え、経営判断が難しくなっている」と話す。
 板橋威静岡県水産・海洋局長は消費者離れを念頭に「漁獲量が戻っていない中での価格低下を憂慮する。ただ、少しずつ量は増えており、見守っている」と話す。「乗り子」と呼ばれる漁船乗組員の男性は「大井川沖の反応はよく、多くの県民にサクラエビを味わってほしい」と話した。

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