記者コラム「清流」 古豪果物、躍進の時

 9月、ある果物の収穫期が到来した。ポポーだ。静岡市清水区で栽培が広がるフルーツで、一般にメジャーとは言えないが本邦伝来は明治期。長い歴史を誇る果物だ。
 本紙でも1955年4月21日夕刊に解説記事があった。「芳香高く、特殊の美味」「軟質果実の王」と激賞が続く。特に高カロリーを評価していて、当時の食料事情をしのばせる。北米原産なのだが、60年8月の朝刊には「南国の味覚」との記述も。61年前、日本国は北極圏にあったというのか―。激動の昭和史だ。
 先月、ポポー味のかき氷を実食し、南国産との勘違いも仕方がない華やかな香りに魅了された。明治から100年以上を経た今、ポポーがメジャーな静岡の特産品へと躍進を遂げるか。注目だ。

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