土砂分析、原因究明へ 静岡県、行政手続きも調査 熱海土石流

 熱海市伊豆山の大規模な土石流災害を巡り、県は今後、逢初(あいぞめ)川の土砂の成分分析を含めた科学的な原因究明と、業者が行政手続きを適正に行っていたのか両面で調査する方針だ。担当部署が多岐にわたるため、国土交通省出身で土木工事の技術面に詳しい難波喬司副知事を中心にチームを作り、熱海市の協力も得て実態解明を進める。

土石流の起点とみられる現場=5日、熱海市伊豆山(国交省TEC―FORCE撮影)
土石流の起点とみられる現場=5日、熱海市伊豆山(国交省TEC―FORCE撮影)

 発生原因に関しては土石流の起点が盛り土なのか、盛り土より下流側の崩落が盛り土の崩落を誘発したのか不明。成分分析によって下流側に流れ下った土砂と盛り土の土砂の類似性を調べるという。
 難波副知事は9日の記者会見で、盛り土より上流側に降った雨が浸透し、長雨の影響で大量に盛り土の地下にたまり、不適切な工法の影響もあって被害を拡大させたとの考えを明らかにした。このメカニズムによれば、既に盛り土下部は流出しているため、崩落しないで残った盛り土部分はあるが「少しの雨では大崩落は起きない」と推定した。
 また、地質専門家の塩坂邦雄氏が主張する、逢初川と別の流域から雨水が流れ込んで盛り土上流側の集水面積が約6倍になったとする可能性について「6倍の水が流れるような状況ではない」と指摘。「不確定な情報で不安をあおっている」と批判した。
 行政手続きに関し、県は県土採取等規制条例を中心に法令に沿った対応が取られていたのか調べる。盛り土周辺部の地形電子データや写真、映像などを時系列で比較するとともに、手続きの関係書類を精査する。

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