「草の根」「共闘」に難しさ【集票の行方 静岡県知事選㊤】

 20日投開票の静岡県知事選は現職・新人の2候補者による選挙戦が中盤に入った。4選を目指す現職の川勝平太氏(72)は立憲民主、国民民主の各党県連が支援し、新人の前参院議員の岩井茂樹氏(53)は推薦を出した自民が全面支援する与野党対決の構図となっている。ただ、国政選挙でも共闘を目指す野党は実情は一枚岩とは言えず、結束を固めたかに見える自民も足元はおぼつかない。集票の鍵を握る経済界の動きも複雑だ。両陣営を巡る政党・団体、経済界の動向を探った。

知事選の街頭演説に詰めかけ、拳を振り上げる支援者たち=7日、静岡市清水区
知事選の街頭演説に詰めかけ、拳を振り上げる支援者たち=7日、静岡市清水区

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 先月末、自民県連役員室にいた幹部の携帯電話が鳴った。電話の主は石破茂元幹事長の秘書。石破氏が7日に岩井氏の応援に静岡入りするという連絡だった。「自民が前面に立った選挙。大物の応援で中央から末端まで支援体制の厚さを誇示できる」。茂木敏充外相、世耕弘成参院幹事長-。幹部は大物弁士が並ぶ予定表を見ながらつぶやいた。
 自民は12年ぶりの党本部推薦を出した知事選候補者とあって、従来の組織力をフル回転させた選挙戦を展開している。支部レベルを含めると300を超える推薦団体は末端まで浸透。最前線で動く市議は「小さな企業、店舗まで動いている。全国レベルで号令が出ている証拠」と党本部推薦の重みを語る。連日、閣僚経験者が応援に駆けつけるのもその証左といえる。
 ただ、岩井氏が出馬表明したのは先月中旬で、短期決戦ゆえの厳しさを語る県議もいる。「自民の強さは草の根運動。企業や団体よりむしろ自治会、町内会」。時間が限られ、本来押さえるべき層まで浸透できていないという。別の市議は「岩井と言っても知らない。参院議員の岩井と言うと『ああ』という感じ」と知名度不足を指摘する。中央では連立を組む公明が自主投票になったことも逆風となっている。
 一方、川勝氏を支援する立憲民主、国民民主の両党県連は政党色を嫌う選対本部の意向を踏まえ、勝手連的な支援に徹する。過去3回の知事選では前身の旧民主・民進党県連が川勝氏支援を主導した。今回は立民、国民に再編後初の知事選になるが、無所属議員が多数となった県議会会派に選対本部の仕切りを任せ、遊説の立ち会いなど側面支援に当たる。
 衆院選を控え、政党を前面に出せない状況に一部で不満がくすぶる。立民県連では枝野幸男党代表を迎える案が浮上したが、「コロナ禍で有権者の反感を招く」(県連幹部)と立ち消えに。国民県連も党幹部による応援演説の予定はない。
 川勝氏を自主的に支援する共産党県委員会は「自民党県政の復活を許さない」などと記したビラを43万部発行。党関係者が川勝氏の街頭演説に頻繁に姿を現している。
 最大の支援団体となる連合静岡はリニア中央新幹線問題などに絡む川勝氏の言動に慎重論があり、全会一致での推薦決定に至らなかった。連合幹部は構成組織と組合員20万人の気の緩みを警戒し「引き締めを強化し、投票行動に確実に結びつける」と意気込む。

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