静岡県立大の理事長・学長に就任する 今井康之さん【時の人】

 静岡県立大の薬学部で20年以上にわたり学生を指導し、研究をけん引してきた。「手抜きせず、突き詰めて取り組む学生が多いと自負している」。新学長として力を注ぎたいことは、その学生のための研究、教育、学習の環境整備だ。「まずはしっかり研究できる教員をそろえたい。大学院生を増やし、県内産業に貢献できる研究人材を蓄積したい」。本県は好立地のわりに研究人材の数が少ないとされ、国が地方の国公立大の研究力を高めようと企画するプロジェクトにも「挑戦したい」と意気込む。

今井康之さん
今井康之さん

 薬学の道を志したのは東京大の在学時。薬学部を見学した際に「生き物の性質を知る」学問に触れ、関心を持った。専門分野は免疫学や糖鎖生物学。県立大の教員時代、一般市民にも講座で話をした経験がある。年代も理解度も異なる市民と大学の「知」を共有するには「専門家側に、伝える姿勢が求められる」と感じ、地域貢献のマインドの土台となった。
 国際学会を開催し、指導した学生を世界の研究機関に送り出すなど豊かな現場経験も積んだ。薬学部教授、大学院研究科長を経て、文部科学省に採択された「グローバルCOE(卓越した研究拠点)」の拠点リーダーなどを歴任し、2015年から副学長に。生え抜きの県立大教員として学長と法人理事長を兼務するのは自身が初となる。「学生が来て良かったと思える大学、を第一に掲げたい」と大学運営を見据える。東京都新宿区生まれ、69歳。

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