大自在(2月14日)義理チョコ

 コンプライアンス(法令順守)への意識が低い昭和のおやじが令和にタイムスリップし、不適切な発言を繰り返す。阿部サダヲさん主演、宮藤官九郎さん脚本のドラマ。SBSテレビで放送中の「不適切にもほどがある!」。
 先週の第3話。情報番組のシーンで、男性司会者が女性出演者に聞く。「チョコを渡す相手はいるのかな」。すかさずプロデューサーが駄目出し。「暗に恋人の有無を聞こうとしているので、セクハラです」。何でもコンプラに縛られる令和である。ともあれ、きょうはバレンタインデー。
 日本生命が先月、2万人近い契約者にバレンタインデーのアンケートを実施。「職場の人や仕事関係者へのプレゼント」、つまり「義理チョコ」を、「必要ない」「どちらかといえば必要ない」とした人は70%を超えた。
 ニッセイ基礎研究所はこの結果を「テレワークを併用する働き方が浸透し、義理チョコ文化はますます衰退している」と分析する。日本型バレンタインデーの象徴的存在に思えたが、もはや死語だろうか。
 代わりに寄付など公的贈与が増えたのが平成以降。阪神大震災が発生した1995年、旧ジャニーズ事務所所属のタレントが「チョコより被災地へ救済募金を」と呼びかけた。転換点になったとされる。
 山口大准教授の山口睦さんは「規範と模範」(風響社)で「義理チョコをやめても人間関係は存続する。だから誰もが納得できる寄付へ転換されたのでは」とした。社会的意義がないとされた義理チョコが、社会貢献のきっかけになったということか。

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