大自在(2月7日)熱量

 日本人が初めてサッカーで外国人チームと試合を行ったのは1904年2月6日だとされている。東京高等師範学校(現筑波大)のア式蹴球部が、横浜のクラブYC&ACと対戦した。日本サッカー協会(JFA)の公式サイトにも記載がある。
 勝利への執着心など熱量は相当なものだったと想像するが、何せサッカー黎明[れいめい]期の日本である。0―9の完敗。創部10年に満たない東京高等師範には、仕方ない結果だったといえよう。
 あれから120年。日本代表はワールドカップ(W杯)の常連国に成長した。2022年カタール大会ではドイツ、スペインといったW杯優勝経験国を撃破した。
 開催中のアジア杯に、日本代表は出場国最上位の世界ランク17位で臨んだ。しかし、準々決勝でイランに敗れ8強止まり。予選リーグでも格下相手に失点するなど物足りない試合が続いた。DF冨安健洋選手(アーセナル)の「熱量を感じられなかった」の言葉が重い。
 JFAは「JFA2005年宣言」で50年までにW杯で優勝すると掲げた。15年には中期目標を設定し、30年までにW杯4強入りするとした。だが、日本代表を率いる森保一監督は、さらに高い目標を公言する。次回26年W杯での世界一である。現在の日本代表は欧州で活躍する選手が大半を占め、期待も高まる。
 アジア杯では、選手への誹謗[ひぼう]中傷投稿や性加害疑惑報道にもさらされた。結果に影響したかは分からない。だが、「史上最強」と言われるチームだからこそ、ピッチ外の部分も含めてまとめてはね返す熱量がほしい。

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