南アルプス 保全と継承へ 「未来デザイン」了承 「つなぐ会」

 南アルプスの自然環境の保全や利活用に向けた官民組織「南アルプスを未来につなぐ会」(会長・山極寿一総合地球環境学研究所長)はこのほど、静岡県庁で2023年度2回目の運営会議を開き、本県域の南アルプスの保全や活用、継承などに関する取り組みを提案する「南アルプスが輝く未来デザイン」の最終案をおおむね了承した。同会は23年度内に冊子を作製、公表し、教育や観光など幅広い分野で活用する。

南アルプスが輝く未来デザインの最終案について協議した運営会議=県庁
南アルプスが輝く未来デザインの最終案について協議した運営会議=県庁

 最終案は、6月にユネスコエコパーク登録10周年を迎える南アルプスの成り立ちや自然がもたらす恩恵、地域に根付いた伝統文化などを紹介。環境の変化や認知度の低さ、アクセスの悪さといった課題、継承に向けた取り組みの方向性などを4章構成でまとめた。
 子どもが理解できるよう、主人公の中学生と南アルプスを象徴する登場人物の対話による物語形式で展開するなど工夫も凝らした。あえて具体的な計画や数値目標などは記載せず、幅広い立場の人が魅力と課題を共有し、行動に結びつけることを念頭に置いた。
 運営会議の理事に名を連ねる川勝平太知事は、静岡市街地からのアクセスだけでなく、大井川鉄道や大井川沿いの道路の利用を含め「どうしたら南アルプスに行けるかを記載した方がいいのでは」と提案した。同じく理事の難波喬司静岡市長は、ふるさと納税を活用して同市が管理する避難小屋などの改修を来年度実施したいとし、「南アルプスの良さをしっかり増やしていきたい」と述べた。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞