映像110番、静岡県内で効果 本格運用半年、利用60件 事故現場や迷子捜索に力

 交通事故や事件の現場などで110番通報者にスマートフォンで撮影した映像や画像を送ってもらう新たな「110番映像通報システム」の利用事例が、静岡県内でも増えつつある。4月の本格運用開始からの半年間で約60件に上り、年間換算では3日に1回の頻度で活用されている。主に事故現場での円滑な危険防止措置をはじめ、行方不明者の捜索などで効果を発揮しているという。県警は各署の緊急配備訓練の機会などを生かして通報への対応能力を高め、外部団体との連携訓練も重ねて適切な初動警察活動の徹底につなげる。

110番映像通報システムを使って不審者役を撮影する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内
110番映像通報システムを使って不審者役を撮影する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内
110番映像通報システムを使って不審者役を撮影するなどして通報する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内
110番映像通報システムを使って不審者役を撮影するなどして通報する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内
110番映像通報システムを使って不審者役を撮影するなどして通報する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内
110番映像通報システムを使って不審者役を撮影するなどして通報する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内
110番映像通報システムを使って不審者役を撮影する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内
110番映像通報システムを使って不審者役を撮影するなどして通報する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内
110番映像通報システムを使って不審者役を撮影するなどして通報する乗客役。県警は訓練を通じて外部との連携も加速させている=9月末、伊豆箱根鉄道伊豆長岡―修善寺を走行する電車内

 「電線が切れ、火花が出ている。対処してほしい」
 「けがはない?安全確保はできていますか。映像を送ることはできますか」
 6月、県東部。切れた電線を道路脇で発見した通報者と、110番を受けた県警通信指令課の担当者とのやりとり。数分後には新システムで現場の状況が送られ、県警側が周辺の危険性などを把握。危険防止措置のため、消防など関係機関への連絡も迅速に進めた。
 試行期間だった1~3月を含めると、9月末までの通報事例は100件近くになる。内容は、道路の危険性除去が必要な事故などの「交通関係」が最も多く、子どもらの「迷子」に関しては全体の約1割を占める。保護者らに顔写真を送ってもらうことで巡回中のパトカーなどで捜索できたケースは多く、いずれも無事に解決しているという。
 通信指令課によると、通報者の大半は動揺する中で一報をくれる。依頼時、特に高齢層に手順などを迅速かつ明確に伝えられるかどうかは最大の懸念だった。
 県警は現在までに、緊急配備訓練などに合わせ、新システムを用いた訓練を熱海、伊東、沼津、掛川、菊川、大仁(現伊豆中央)など各署で実践。伊豆中央署は9月末、伊豆箱根鉄道の協力を得て、刃物を持った不審者役を同鉄道社員らが乗客役として撮影する実践的な訓練も電車内で行った。犯人役は、事前の詳細情報を基に武装した警察官が到着駅で取り押さえた。
 通信指令課によると、訓練でスマホごとの通信・電波状況などの課題も把握でき、担当者で情報は常に共有、更新しているという。
 同課は、災害対策情報との連動など複数の新機能を搭載した新たな通信指令システムを3月に導入。回線を2倍にして災害時の110番受理態勢も強化したばかりで、映像通報システムを加えた運用態勢の練度を高めている。強盗など凶悪事件現場からの映像通報も想定し、加藤晃久次席は「安全確保を最優先に依頼していく」と強調。その上で「落ち着いてもらうためにも、担当部署間で必要な訓練を重ねたい」と話す。
 (社会部・荻島浩太、大仁支局・小西龍也)

 110番映像通報システム 110番した通報者の希望に応じて携帯電話に映像送信用サイトのURLをショートメッセージサービス(SMS)で送り、そのサイトから通報者が映像や画像を送れる仕組みで、全国の都道府県警で4月から本格運用された。URLは通信指令室の担当者から協力の同意を得た上で送られる。通報者はシステムにログインし、①著作権放棄②GPS機能による通報者の位置情報取得③第三者のプライバシーを不当に侵害しない④データ通信料金の負担―などの留意事項に同意して撮影する。通報前にスマホに保存した画像も送信可能。現場に向かう警察官とリアルタイムで共有でき、映像は原則、取得の翌日から1週間後に自動消去される。

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