キャンプ飯 静岡らしさプラス つくだ煮、カレー… 災害時の非常食にも【しずおかアウトドアファン】
せっかく県内でキャンプをするなら、“静岡らしさ”のある食事を作るのも楽しみの一つ。近年のアウトドアブームで県内企業が開発したキャンプ飯関連の商品も相次いで登場している。手軽に活用できる商品を探してみた。
焼津の事業者 協力し開発
焼津市では技術力が高い水産加工会社が集まる特徴を生かし、市内の事業者が協力。キャンプでの使用をイメージした商品開発プロジェクトが2022年度に始動した。現在は「やいづキャンプ飯」の統一ブランド名で、14社が手間をかけず味わえる商品を展開している。
ヤギショーの「カツオトマトライス」は、登山の携行食としても人気のアルファ化米を使った。付属のレトルトスープを混ぜるため、水は不要。常温なら60分、火で加熱すれば5分ほどで完成する。味は相性のよいカツオとトマトがベース。好みの野菜を加えて調理すれば、彩り豊かな一皿に仕上がる。
老舗つくだ煮店の寺岡銈吉商店が手がけるのは「ホットサンドのための佃[つくだ]煮」。しょうゆやカレー味などのマグロのつくだ煮がペースト状になっていて、パンに塗りやすい。チーズやトマト、アボカドと食パンに挟み、香ばしく焼き上げれば朝食にぴったりだ。 あまる斎藤商店の「ゴロっと塩さばカレー」は脂の乗った肉厚の塩さば入りレトルトカレー。フライパンに白飯やチーズと一緒に乗せ、ドリア風にしてもおいしい。
このほか、「鰹[かつお]節珈琲」(めぐみ珈琲ラボ)やステーキ状にカットしたカツオなまり節を味わえる「鰹肉with鰹の恵み塩」(カネオト石橋商店)などがあり、やいづキャンプ飯や各社の通販サイト、交流施設「焼津PORTERS[ポーターズ]」(同市中港)で販売している。プロジェクトを運営する次世代の焼津ブランド創出協議会の本杉美登里事務局長は「キャンプ飯だけでなく、災害時の非常食としても使える。調理方法などの発信を強化していきたい」と話している。
静岡おでん なじみの味 気軽に
本県の代表的なご当地グルメの一つとして人気の静岡おでん。キャンプや登山で気軽になじみの味を楽しめる商品と評判なのが「山とおでん」だ。
商品を企画したのは、静岡市駿河区在住で飲食店経営の経験もある朝倉健児さん。県外の友人とキャンプに出かけた際、幼い頃から親しんできた静岡おでんを振る舞ったところ好評だったため、個人で商品化した。黒はんぺん、牛すじ、大根、だし粉などの具材をパック詰めした。登山リュックの中に中身が漏れないよう二重構造の袋に封入。袋のまま温められる。重さは持ち運びの負担にならない約400グラムに抑えた。
通販のほか、県内外のアウトドア用品店や道の駅で販売している。朝倉さんは「この商品で初めて静岡おでんを食べたという感想もいただく。多くの方に味わってもらい、静岡に足を運ぶきっかけにしてほしい」と言葉に力を込める。
県産緑茶でほっこり
日ごと涼しくなるこれからの季節、キャンプ場でゆっくり本県産の緑茶を味わえば心が和む。静岡市清水区宍原のアウトドア用品店「アウトドアライフkano」と併設の「kanocafe(カノカフェ)」で、楽しみ方を聞いた。
家庭で愛飲しているお茶を楽しみたい人向けには、丈夫なステンレス製の急須や茶筒がお薦め。カノカフェの手塚真由美さんによると、お湯を入れても持ち手部分は熱くならないように工夫されているという。
コーヒー用の道具を持っている人は、ドリッパーで入れる手法もある。同店で扱う三協茶園(静岡市葵区)の「和キャンプティー・lapon(ラポン)」は茶葉が細かく、ドリップに適しているという。
アウトドアライフkanoの手塚千晴店長は「温かくおいしいお茶で、リラックスしたひとときを過ごしてほしい」と語る。
(生活報道部・草茅出)