裾野・園児虐待事件 静岡県と市、園側の報告書受理 改善措置で「保育適切に」

 裾野市の私立さくら保育園で発覚した園児虐待事件で、静岡県と市は7日までに、運営する社会福祉法人「桜愛会」(同市)が再発防止策などを盛り込んで提出した改善報告書を受理した。既に一部の改善措置が実施され、今後も継続的に行われることで「適切な保育環境の確保が認められる」と判断した。

改善措置報告書の受理について説明する村田悠市長=7日午前、裾野市役所
改善措置報告書の受理について説明する村田悠市長=7日午前、裾野市役所
改善措置報告書の受理について説明する村田悠市長=7日午前、裾野市役所


 県と市は児童福祉法などに基づく特別監査を行い、2月に「原因検証」「再発防止策」「保護者との信頼回復」について報告を求める改善勧告を出した。報告書によると、原因は保育士の人権意識が欠如するとともに、職員間のコミュニケーション不足や内部統制の機能不全といった園の運営体制にも問題があったと指摘。役職員の研修会や職員会議活性化、保護者との定期的な意見交換など再発防止策を盛り込んだ。

 桜愛会は改革委員会を設け、園内に防犯カメラを取り付けるなどの一部対策を既に実行している。7月25日に報告書を提出したが、内容に不記載があり、8月30日に再提出した。
 同事件を巡っては刑事処分に続き、行政手続きも報告書の受理で事実上終結した。県と市は今後、定期監査などで改善措置の実施状況を確認する。村田悠市長は「桜愛会に対して確実な実施を求め、市としても保育の信頼回復と保育環境の安定化に努める」と話した。
 さくら保育園では昨年度、1歳児を担当していた女性保育士3人による身体的・心理的虐待を含む不適切な保育が繰り返されていた。3人は昨年12月、暴行の疑いで裾野署に逮捕された。うち1人は略式起訴され、罰金刑が確定した。
 桜愛会が設置した第三者委員会は不適切な保育内容として、感染症の疑いがある園児の体をほかの園児に触らせるなどの8行為を認めた。一方で、県と市が認定した園児を宙づりにしたり頭をバインダーでたたいたりした行為は「安全性を確保するためだった」との理由で、不適切とは認めなかった。

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