バイオエタノ－ルランプ 山本工業（湖西市） 高技術で「美」をともす【ものづくり最前線】
管楽器の金属部品を製造する技術を生かし、室内外で使えるバイオエタノールランプを昨年１２月に発売した。ブランド名の「ＢＲＡＳＳＣＥＮＥ（ブラシーネ）」は、真ちゅうを意味する「ＢＲＡＳＳ」と景色を意味する「ＳＣＥＮＥ」を組み合わせた。
真ちゅうの板を精密に曲げた外面はあえてコーティングを行わず、経年による色の変化を楽しめる。銀ろうの溶接と研磨の高い技術を生かし、つなぎ目を見せない美しさにこだわった。火消し用のふたもサックスのキー部分をモチーフに洗練された意匠とした。開口部が大きく、炎が揺らぐ様子を見られるのが特徴。燃料のバイオエタノールは一酸化炭素を発生させないため、屋内でも使いやすい。
開発の契機は新型コロナウイルス禍の苦境。２０２０年４月の臨時休業中に中小企業の伴走支援をする企業のテレビ番組を社員が見たことを機に、自主的に集まった３０代社員４人がマーケティングを学び、初の商品開発に挑んだ。開発チームの木下力要［ちかとし］さん（３７）は「普段は細かな部品を製造しているため難しい挑戦だった」と振り返る。山本哲也社長は「商品が形になるにつれ、従業員の意識が変わるのを感じた」と手応えを語る。現在は６人体制で広報や営業にも取り組み、今後はインテリア用品などへの多角的展開も目指している。
縦横１５センチ、高さ６センチ、税込み３万円。自社サイトや市内のキャンプ用品店で販売し、市のふるさと納税返礼品にも選ばれている。
企業情報 湖西市新居町中之郷４０７７。１９７１年創業。従業員５４人。
いい茶0
