マンホール「ドイツ蓋」撤去 国内で唯一現存、浜松市保管へ 設置は大正から昭和初期

 浜松市中区に設置されている「ドイツ蓋(ぶた)」と呼ばれるマンホールのふたがこのほど、周辺の道路工事に伴い撤去された。正確な年数は不明だが、大正から昭和初期ごろに設置されたとみられるという。ドイツ由来の、国内ではこの場所にのみ現存していた貴重品で、当面は下水道工事課で保管する。

周辺工事に伴い撤去されるマンホールの「ドイツ蓋」=浜松市中区
周辺工事に伴い撤去されるマンホールの「ドイツ蓋」=浜松市中区
浜松市にのみ現存していたという貴重な「ドイツ蓋」
浜松市にのみ現存していたという貴重な「ドイツ蓋」
周辺工事に伴い撤去されるマンホールの「ドイツ蓋」=浜松市中区
浜松市にのみ現存していたという貴重な「ドイツ蓋」


 直径65センチメートルで、放射状の模様と二つのひし形を組み合わせたような模様、ボルトで留める部分が2カ所あるのが特徴。中心は旧浜松市の市章とみられるマークも確認できる。市によると、戦後まで下水管用として使用され、数十年前に新たな下水管が整備されて以降、使われなくなったという。
 長年ドイツ蓋を観察している、マンホールなどの産業考古学の研究に取り組む音楽家クレイジー銀さん(56)=神奈川県藤沢市=によると、同様のデザインは戦前のドイツや中国などで確認されているという。市内には少なくとも3カ所に類似のマンホールが設置されていたが、残り二つについては2010年半ばまでに既に撤去されていた。
 作業を見守ったクレイジー銀さんは「最後を見届けられて感慨深い。貴重な資料なので、大切に保管してほしい」と願った。
 (浜松総局・仲瀬駿介)

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