熱海土石流 静岡県が再検証論点提示 専門家、聴取せず 訴訟関係部分除外

 熱海市伊豆山で盛り土が崩落して28人が死亡した土石流に関し、開発行為への県の規制や手続きの検証が不十分だった問題で、県は5日の県議会総務委員会で、再検証する関係法令別の論点表を公表した。京極仁志経営管理部長は、遺族や被災者が原告になっている訴訟の関係部分は論点から除外すると表明した。県によると、具体的な論点は外部の専門家から意見を聴取せずに当事者の県が決めるという。

県が県議会に提示した再検証の論点
県が県議会に提示した再検証の論点

 川勝平太知事は6月27日の記者会見で、行政対応検証委員会(第三者委員会)で未検証のまま裁判所に提出された文書(A283)を含めて再検証する意向を示していたが、論点に関して京極部長は「裁判において事実関係の究明が進められるものを除く」と説明した。A283には、関係法令ごとの規制効果を比較検討した職員の見解など、重要情報が記されている。
 再検証の論点表には、砂防指定地の面指定に関する判断や、崩落盛り土北側の宅地開発に対する指導の妥当性などが盛り込まれたが、どの法令を適用すれば効果的に規制できたのかという点が含まれていない。
 再検証過程で訴訟に影響すると分かった事実を検証結果として公表するのかという県議の質問に対しては、再検証を担当する同部総務局の清水大全参事が「訴訟を所管する部署(法務課)や県議会の意見も聴いて取り扱いを検討する」と述べた。県議会9月定例会で再検証の中間報告をする可能性にも触れたが、議事録は途中段階で明らかにせず、最終報告に合わせて全文ではなく要約して公表するとした。

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