浜名湖産ノリやアオサ 乳酸菌と米で果物発酵 県農林技術研究所 色と香り変化 成分解析 CF20日まで

 静岡県農林技術研究所(磐田市)は、浜名湖のノリやアオサから採取した乳酸菌と米でイチゴやメロンを発酵させ、果物の成分変化を調べる基礎研究に取り組んでいる。これまでの発酵試験で色が変わったり、香りが強くなったりするなどの変化がみられたという。同研究所は消費が落ち込む米や果物で新たな加工食品の開発を見据え、機能性成分などの科学的解析を進める。

乳酸菌と米でイチゴを発酵させ、成分を解析する研究員=磐田市の県農林技術研究所
乳酸菌と米でイチゴを発酵させ、成分を解析する研究員=磐田市の県農林技術研究所


 ノリやアオサから分離させた乳酸菌を米のかゆに入れて培養し、すりつぶした果物を混ぜて発酵させる。1日程度で甘い香りが際立つようになったほか、メロンは緑から黄色になるなど「劇的な変化が起きた」(研究員)という。乳酸発酵させた農産物の成分解析データは少なく、同研究所は本年度からクラウドファンディング(CF)で資金協力を募りながら研究を本格化させている。
 加熱や凍結で香りが失われる果物の“弱点”を乳酸発酵で克服できる可能性があるほか、メロンなどに多く含まれる睡眠の質を高める機能性成分GABA(ギャバ)を増やす効果も期待される。植物性の発酵食品はアレルギー反応が比較的少なく、商品開発のメリットは大きいという。今後、発酵時間の調整や米粉の使用などを重ねてデータを集めながら食品メーカーに活用を提案する方針。
 総務省の家計調査によると、世帯当たり(2人以上)の米の購入金額は約20年間で46%減。果物も減少傾向が続いている。研究員は「まずは本研究を知ってもらい、農産物の消費拡大につなげたい」と語る。
 CFは20日まで。目標額は60万円。特設サイト<https://academist-cf.com/projects/297>で申し込む。
 (経済部・金野真仁)

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