社説(7月4日)熱中症対策 情報有効活用し予防を

 梅雨はまだ明けていないが最高気温が35度以上の猛暑日を観測する時期になった。暑さに体が慣れる「暑熱順化」ができていないと、厳しい暑さによって熱中症になるリスクが高まる。熱中症情報を活用して予防に取り組み、厳しさを増す暑さをしのぎたい。
 気温が上昇し、湿度も高い時には、こまめな水分補給や涼しい服装を心がけ、迷うことなくエアコンやクーラーを活用すべきだ。体温調節機能が未熟な子どもや、暑さやのどの乾きを感じにくいとされる高齢者は、より熱中症リスクが高い。周囲が十分に目を配ってやることも重要だ。
 電気料金が上がる中、エアコンをかけにくいという人も少なくないだろう。まずは命と健康を守ることを最優先に考えてほしい。また、単独ではなく家族で集まって涼むなど工夫も求められよう。
 東京電力管内は電力需給が厳しいと見込まれ、政府は8月末まで無理のない範囲での節電を呼びかけている。照明や電化製品の電源をこまめに切るなど節電にも上手に取り組みながら乗り切りたい。
 予防には「暑さ指数」(WBGT)や「熱中症警戒アラート」を活用したい。暑さ指数は、人体と外気とのやりとり(熱収支)に影響する①湿度②日射や輻射[ふくしゃ](放射)など周辺の熱環境③気温―から算出される指標。指数28以上の「厳重警戒」で熱中症になる人が急増するといわれ、指数31以上の「危険」では高齢者は安静状態でも発生する危険性が大きいとされる。
 警戒アラートは指数33以上と予測された場合に都道府県単位などで発表される。発表されたら予防行動が必要だ。テレビやラジオの気象ニュース、環境省や気象庁のネットサイトに目を配る習慣を身に付けてほしい。
 総務省消防庁がまとめた2022年5~9月の熱中症救急搬送状況によると、搬送者は前年同期比2万3152人増の7万1029人。うち80人が死亡した。静岡県内は搬送者が同582人増の1688人、死者は1人だった。
 搬送者の年齢区分では高齢者が54・5%で最も多くなった。発生場所別では住宅が39・5%、道路16・6%の順になった。屋内にいても安心はできない。週ごとの推移を見ると、6月下旬から7月上旬にかけて急増している。
 今年に入り、県内では5月に74人が搬送された。6月に入ってからは、県中部の少年野球大会に参加していた児童が搬送される事案も起きている。気温30度以上の真夏日を県内各地で観測するようになり、静岡市では同30日、35・8度を記録して猛暑日となった。梅雨が明ければ、暑さも本格化する。暑さと体調に留意しながら過ごしたい。

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