大自在(5月10日)ロシア

 ロシアのウクライナ侵攻後まもなく、国連総会でロシア非難決議が採択された。複雑な国際情勢や各国の実情を理解する上で何かの参考になればと、賛成、反対、棄権など各国の投票の内訳が分かる本紙掲載の一覧表を今も手元に置いている。
 どこにあるのか分からない国もあった。ロシア、北朝鮮、ベラルーシ、シリアとともに非難決議に反対したエリトリアはその一つ。アフリカ北東部の紅海に面した国で、1993年にエチオピアから独立した。
 非難決議では国連加盟193カ国のうち141カ国が賛成した。国軍がクーデターで権力を強奪したミャンマーが賛成したのは、意外にも思えたが、国連は軍事政権が推薦する国連大使を認めていない。現在も引き続き務める民主政権時代の大使が賛成票を投じた。
 イスラム主義組織タリバンが再び権力を握ったアフガニスタンの大使も、米国の影響下にあった前政権時代からの人物で、非難決議に賛成した。ただ、仮にタリバンが推薦する大使でも賛成したかもしれない。アフガンはソ連の侵攻を受けた歴史がある。
 非難決議を棄権したのは中国、インドなど35カ国。中国やロシアが影響力を強めているといわれるアフリカの国が目立つ。内戦が続くスーダンも棄権した。
 岸田文雄首相が連休中に訪問したアフリカ4カ国のうちエジプト、ケニア、ガーナは賛成で、モザンビークが棄権。主要7カ国(G7)広島サミットを前に、ロシアに対するG7や議長国日本の姿勢を直接伝えるため、棄権した国を訪れてもよかったのではないか。

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