うぞうむぞう【有象無象】 浜松まつりとの共通点 石井萠水【SPAC俳優 言葉ひらいて③】

 今年のゴールデンウイークがやってきました! 浜松市では待ちに待った浜松まつりが始まりますね! 浜松で生まれ育った私も、この時期は血が騒ぎます。しかしSPACは毎年この時期に「ふじのくに→←せかい演劇祭」を開催しており、私も出演していますので、浜松まつりへの熱は静岡で演劇に注ぐようになりました。

SPAK俳優 言葉 ひらいて3 うぞうむぞう 有象無象
SPAK俳優 言葉 ひらいて3 うぞうむぞう 有象無象

 さて、そんな私が心血を注いでいる演劇について、よく「どんな役を演じているの?」と聞かれることがあります。その返答こそ、今回のタイトルである「有象無象」です!
 この言葉の意味は「数は多いが大したことのない、つまらない人々」、つまりその他大勢、専門用語でコロス(コーラスの語源)とも呼ばれるものです。映画等でよく言われるエキストラとは少し違うのですが、一般大衆を表現する役と思ってもらえると良いかもしれません。そういった役を演じることが多いです。
 まるで卑下しているように思われるかもしれませんが、そういうわけでもありません。有象無象は、物語に必要な存在だからです。人は誰しも主役が見たいものですし、主役に感情移入しながら物語を愉[たの]しむものですが、その主役は端役や脇役あってこその主役です。
 注目されないことを励ますつもりで「端役なんてない!」と言う人もいますが、端役はあります。必要だからです。何者でもない大勢の人たちこそ世界にとって必要な存在ではないでしょうか?
 浜松まつりの激練りは、大勢の市民の力が集まってお互いを鼓舞し合いできるもの。私は今公演中の「天守物語」で、「面々」という多くの者の中の一人という意味の役を演じていることに、まつりに参加するのと同じような使命感を感じています。熱意ある有象無象になることこそ、この時期の楽しみ方です。

 いしい・もえみ 浜松市中区出身。2004年よりSPACに参加。5月、駿府城公園、浜松城公園にてSPAC「天守物語」に出演。

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