記者コラム「清流」 春の記憶

 「金谷(きんや)?」「なんの祭りだろう」―。小学生のころ、島田市川根町にある川根温泉の施設を家族で訪れた際、館内でひときわ目立つポスターが目に留まった。
 あれから十数年。縁あって静岡に移り住み、島田支局に配属となった。あの時見たのは、同市の金谷(かなや)地域で2年に1度開かれる「金谷茶まつり」のポスターだったようで、華やかな衣装姿の女性たちが列を作って踊るポスター写真が脳裏によみがえった。
 この目で見る機会は新型コロナで阻まれ、前回は中止になった。伝統行事が街に人に大きな活力をもたらすことを昨年の島田大祭に参加して体感している。5年ぶりの金谷茶まつりが今週末の8、9日に迫った。支局で迎える3度目の新茶の季節。ポスターで見た記憶がようやく現実となる。
(島田支局・池田悠太郎)

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