劇場、文化芸術の役割は 宮城SPAC総監督 浜松で講演

 舞踊家佐藤典子さんの門下生などでつくる「佐藤典子同門会」は15日、静岡県舞台芸術センター(SPAC)の宮城聰芸術総監督の講演会(静岡新聞社・静岡放送後援)を浜松市中区のプレスタワーで開いた。宮城総監督は、演劇人として国内外で活動する立場から、多様性を認める劇場や文化芸術が果たす役割の大切さを説いた。

舞台芸術について講演する宮城SPAC芸術総監督(左)=浜松市中区のプレスタワー
舞台芸術について講演する宮城SPAC芸術総監督(左)=浜松市中区のプレスタワー

 宮城総監督は、現在の学校教育の問題点を「人と違うことに価値を置いていない」と指摘し、「劇場がもう一つの学校として機能すべきだ。存在意義は高まっている」と述べた。
 地方の課題として東京などへの人口流出を挙げ、「多様性が容認される寛容な空気は『文化があること』とセットになっている。地方への反転のために、芸術の役割は大きい」と説いた。
 新型コロナウイルス禍で「身体を使わないコミュニケーション」が主流になったことが、人々の自己肯定感の喪失につながっているとの考えも示した。その上で「劇場は精神の先端医療機関になる。舞台芸術を広めるため、僕らの側から劇場を飛び出していく」と、本拠地の静岡市以外での活動を増やすとした。
 講演会は、同様に舞台芸術に取り組む佐藤さんの舞踊生活75周年記念事業の一つ。約100人が聴講した。

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