JR東海社長に丹羽氏 「リニア懸念解消 継続」 4月1日付昇格

 JR東海は11日、金子慎社長(67)の後任に丹羽俊介副社長(57)が4月1日付で昇格する人事を発表した。社長交代は2018年4月以来5年ぶり。リニア中央新幹線計画の推進や鉄道利用者数の回復が課題となる中、経営トップの若返りを図る。丹羽氏は1989年に入社。87年の国鉄民営化後の入社で社長に就任するのはJR旅客6社で初めて。

丹羽俊介氏(JR東海提供)
丹羽俊介氏(JR東海提供)

 丹羽氏は名古屋市での記者会見で、リニア計画に関し「名古屋までの早期開業に全力を尽くす」と述べた。金子氏は代表権のある会長に、柘植康英会長(69)は取締役相談役に就く。
 丹羽氏は人事部長、広報部長や総合企画本部長などを歴任。昨年6月に副社長に就任していた。
 リニア工事では大井川の水資源や自然環境への影響に関する静岡県との協議が続いていて、本県内区間の着工ができておらず、2027年を目指していた東京・品川-名古屋間の開業が見通せない状況だ。
 丹羽氏は「地元の懸念を解消する取り組みを継続して進めていく」と述べ、静岡県や関連自治体、住民と対話を続けると説明した。開業時期については明言を避けた。

知事や島田市長「水問題」進展に期待
 JR東海が金子慎社長(67)の後任に丹羽俊介副社長(57)が4月1日付で就く人事を発表したことを受け、川勝平太知事と大井川流域自治体の染谷絹代島田市長が11日、取材に応じた。いずれもリニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題の協議の進展につながることに期待を寄せた。
 川勝知事は工事着手を巡り会談を重ねた金子社長について「県との交渉に打ち込まれてきた人だった。ついに(水問題の)答えを出さないまま退任されるのは残念」と労をねぎらった。次の社長に対し「しっかりと(答えを)出していただきたい。みんなで知恵を出せば、いい解決策が出る」と話した。
 染谷市長はこれまでの同社の水問題に関する説明について「受け手である流域住民がどう捉えるかというイマジネーションが足りていなかった」と指摘した。その上で「社長交代は一つの区切り。誠実で分かりやすく、私たちが受け入れられるような説明や提案を行ってほしい」と、新社長の手腕に注目した。

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