大自在(12月23日)進化する鍋

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、書く記事の中で「コロナ禍」という単語をよく使う。慎重に確認するのが、「コロナ鍋」になっていないかということ。「しめすへん」と「かねへん」では大違いだ。
 念入りな見直しを心掛けていると、有名料理レシピサイトに、本当に「コロナ鍋」があって驚いた。つくねにエノキタケの先端をカットしたものを複数挿し、表面に「スパイクタンパク質」の突起があるコロナウイルスを表現する。発想と素材使いに感心した。おいしく食べて、やっつけようということだろう。
 鍋料理が恋しい季節。家族や気心知れた仲間と囲む鍋は体も心も温まる。冬のだんらんの象徴でもあり、鍋にまつわる興味深い全国調査の結果が報告されている。
 民間気象会社ウェザーニューズによると、気温が18度以下になると過半数の人が鍋料理を食べたくなるという。冷え込みが増すにつれ鍋への思いが強まるのはだれもが実感するだろうが、数字で示されると一層納得できる。
 お肉を湯の中で「しゃぶしゃぶ」する回数は平均3・89回―。食品メーカーのミツカンが、しゃぶしゃぶについて聞いた結果だ。北海道ではラム肉が好まれるほか、スタートは東日本では野菜から、西日本では肉類からが多いなど、地域ごとの特色も浮かび上がった。
 飲食店情報サイト「ぐるなび」は今年のトレンド鍋として、「平成リバイバル鍋」を提案する。平成に流行し定番となったもつ鍋などに、食材や味付けの変化など「今らしさ」を加えるのが定義とのこと。鍋の進化は止まらない。

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