膣上皮内癌に安価な塗り薬 有効性証明、国際団体から表彰 静岡県立総合病院・小阪医師 発展途上国への貢献期待

 静岡県立総合病院臨床診療部女性・小児センターの小阪謙三センター長(57)がこのほど、発展途上国の医学研究の推進を目的にしたIRPC(国際研究振興協議会、本部・インド)から2022年度表彰を受けた。膣上皮内癌(ちつじょうひないがん)に対し、他疾患で用いられる安価な塗り薬の有効性を証明した業績などが評価された。

発展途上国での貢献が期待される治療法の有効性を証明し表彰された小阪謙三センター長=16日、静岡市葵区の県立総合病院
発展途上国での貢献が期待される治療法の有効性を証明し表彰された小阪謙三センター長=16日、静岡市葵区の県立総合病院

 IRPCは1993年に英国で設立され、毎年、主にがん患者の多い発展途上国の治療に寄与する業績を挙げた世界中の医学者や医師を表彰している。
 小阪センター長によると、膣上皮内癌は比較的まれな疾患で、子宮頸(けい)癌治療で子宮を摘出後に残存していたHPV(ヒトパピローマウイルス)によって発生することが多い。レーザー治療や切除術が治療法となるが、再発率の高さや合併症のリスクがある。同病院では尖圭(せんけい)コンジローマに用いる塗り薬「イミキモドクリーム」を使い、有効性を実感していたという。
 週3回塗布を繰り返し、1カ月で約8割、2カ月で9割以上が完治する。小阪センター長らが同病院や世界中の事例を統計解析して薬の有効性を示した論文は、婦人科系の悪性腫瘍(しゅよう)に関する世界的な雑誌に掲載された。
 小阪センター長は「膣上皮内癌の患者が多く治療施設がない発展途上国には、安価で治療できる塗り薬が非常に役立つ。広まってほしい」と話す。受賞にあたっては、婦人科領域のロボット手術の功績も評価された。

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