J3沼津筆頭株主 都内の不動産会社に 財務基盤強化へ

 サッカーJリーグ3部(J3)アスルクラロ沼津は1日、沼津市内で記者会見を開き、クラブを運営するアスルクラロスルガが発行する株式の一部を三ツ星不動産サービス(東京都)社長の谷強氏(54)が取得し、筆頭株主になったと明かした。債務超過に陥っていたクラブの財務基盤の改善を進め、成績不振のチームの強化を図る。

会見で新体制となった経緯などを説明する高島雄大社長(左)=1日午後、沼津市内
会見で新体制となった経緯などを説明する高島雄大社長(左)=1日午後、沼津市内
シーズン報告会で、選手と歓談するサポーター=沼津市内
シーズン報告会で、選手と歓談するサポーター=沼津市内
会見で新体制となった経緯などを説明する高島雄大社長(左)=1日午後、沼津市内
シーズン報告会で、選手と歓談するサポーター=沼津市内

 来季はクラブOBで元日本代表の中山雅史監督、J1鹿島アントラーズで育成部長を務めた新社長の高島雄大氏(55)、谷氏の新体制で臨む。これまで筆頭株主だった山本浩義会長は退任し、一般社団法人アスルクラロスポーツクラブの運営に専念する。
 同日付で社長を退いた渡辺隆司氏は記者会見で、新型コロナウイルス禍による入場者激減や地元のメインスポンサー撤退により強化がままならない厳しい経営状況だったと説明し「大きな力を持ったスポンサーを探していた」と明かした。
 谷氏はクラブを通じて「30年以上にわたり地域とともに歩んできた歴史やネットワーク、関係者や地域のみなさまのクラブへの思いなどに非常に大きな可能性を感じた」とのコメントを発表した。

「3年後、J2目標」 年間予算倍増目指す 沼津新体制
 J3沼津の運営会社「アスルクラロスルガ」の新社長に就任した高島雄大氏は1日、沼津市内で開かれた記者会見で「2025年にJ2、33年にJ1にふさわしいクラブになる」との目標を掲げた。中山雅史新監督も「全力で闘う姿勢の観(み)えるサッカーを目指す」とのコメントを寄せた。
 高島氏は現在4億円規模の年間予算を、3年間でJ2の平均水準の8億円程度に倍増させたい考えを示した。主催試合の入場者数増など「これまでできなかったところをチャレンジしたい」とし、目標達成は「全く無理ではない」と強調した。財務規模拡大を選手の強化につなげるほか、J2ライセンス取得に向けた専用練習場確保にも意欲を示した。
 中山監督については「勝利に飢えている、モチベーターとしての監督」という条件に適任だったとし、同クラブでの選手、ユースコーチ経験も踏まえ、立て直しを期待した。
 中山監督はクラブを通じてのコメントで、「勝負強い・粘り強いアスルクラロ沼津を作っていきたい」とし、サポーターと「最高の喜怒哀楽を共有し、皆さんと共に闘っていきたい」と意気込みを示した。(東部総局・尾藤旭)

新経営陣に期待の声
 J3沼津を運営するアスルクラロスルガの社長に高島雄大、会長に谷強の両氏が就任した1日、体制が一新されることになった「新生・アスル」への今後に期待する声が地元から聞かれた。
 サポーターの福祉職、宮間雄二さん(55)=富士宮市=は経営の健全化を望みながら「来た人が笑顔になるような魅力的な仕掛けをしてほしい。子どもたちや選手の才能が開花する場になれば」と求める。
 高島氏はJ1鹿島で指導歴があり、谷氏は本業以外にサッカー事業も手がける。飲食店経営の勝又直人さん(41)=裾野市=は「(新経営陣は)サッカーを知っている方のイメージ。特に育成で期待が持てる。勝てる強いチームになることを望む」と話す。
 ホームタウン沼津市の頼重秀一市長は「市民と一体となってアスルクラロを応援する」とコメントした。
 同日、市内でシーズン報告会が行われ、訪れたアスルサポーターが選手らと歓談する場面が見られた。DF藤崎は「照明の改修が決まるまでは不安だったが、サポーターらの声がダイレクトに届きうれしかった」と振り返った。(東部総局・山本萌絵佳、小西龍也)

 <メモ>J3沼津の沿革 1990年創立。2006年に県1部リーグに昇格し、現チーム名に。17年からJ3リーグで戦い、最高成績は3位。「育成型クラブ」を掲げ、市民クラブを目指し防災や清掃活動なども展開。一般社団法人「アスルクラロスポーツクラブ」は、地域の子ども向けにスポーツ教室を運営する。ホームタウンは沼津市で、ホームスタジアムは県営愛鷹広域公園多目的競技場。

 <メモ>三ツ星不動産サービス 2014年に代表の谷強氏が設立。国内外で事業を展開し、J3のYSCC横浜のスポンサーも務める。16年にスポーツマネジメント会社を設立、サッカー選手育成や海外留学、移籍に関するコンサルタント業務も手がける。
 

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