SPAC秋→春シーズン8日開幕 「ペール・ギュント」再演 転換点の4傑作から学ぶ

 静岡県舞台芸術センター(SPAC)の「秋→春のシーズン2022―23」が、8日の公演を皮切りに始まる。2023年3月まで、名作戯曲計4作品を現代の演出で順次、上演する。第1弾として10~11月は「ペール・ギュント」を10年ぶりに再演する。

すごろく盤をモチーフにした舞台で演じられる「ペール・ギュント」=静岡市駿河区の静岡芸術劇場(撮影・猪熊康夫)
すごろく盤をモチーフにした舞台で演じられる「ペール・ギュント」=静岡市駿河区の静岡芸術劇場(撮影・猪熊康夫)

 ノルウェーの劇作家イプセンの劇詩で、故郷を飛び出したペールが世界を駆け巡る物語。SPACは宮城聰芸術総監督の演出で10年に初演、12年に再演した。打楽器の生演奏を主体にした音楽劇で、巨大なすごろく盤のセットが目を引く。
 奔放な主人公の姿を、海外に出て行こうとする明治期の日本の国と重ね合わせた。ペールが全てを失うように、日本も敗戦を経験する。「つまずいた感覚があったと思うが、新たな生き方を見つけた。自信を失っても悲観しなくていい、見つけられるものはある」と宮城総監督は話す。
 例年、古典の著名作品を集める秋↓春シーズン。11~12月はモリエール作「守銭奴 あるいは嘘[うそ]の学校」、1月はシェークスピア作「リチャード二世」、2~3月はイプセン作「人形の家」をそれぞれ上演する。
 宮城総監督は4作品を「人間社会の転換点の傑作」とし、「歴史の混乱期で『どうしていいか分からない』と思っても、過去を振り返ると同様の危機があったはず。過去の人が残した知恵を活用できるようにするのが、劇場の役割だと思っている」と話す。
 (文化生活部・山本淳樹)

 「ペール・ギュント」の公演は8、9、29、30日、11月5、6日のいずれも午後2時から、静岡市駿河区の静岡芸術劇場で。10月21日午後6時半からは磐田市民文化会館「かたりあ」でも公演を開く。問い合わせはSPACチケットセンター<電054(202)3399>へ。

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