記者コラム「清流」 宮沢章夫先生の講義

 劇作家の宮沢章夫さん(掛川市出身)が亡くなった一報を、学生時代の旧友からのLINEで知った。約10年前、大学の講義を最前列で受講した筆者にとって、宮沢先生はサブカルチャーの水先案内人であり、憧れの存在だった。
 受講した「サブカルチャー論」はニューウエーブやYMO、セゾン文化、宝島、おたくなど1980年代の東京文化を、当事者に近い立場で再検討する人気授業。ダークな笑いを交えた講義は軽妙な語り口で進むが、時折ふと狂気がにじむ瞬間があった。これは講義でなく半自伝的戯曲であり、大学教授役を演じておられるのでは、と錯覚した。
 宮沢先生と話したのは、記者としてさくらももこさんの追悼コメントを依頼した時が最後になった。とても寂しい。ご冥福をお祈りします。
 (東部総局・菊地真生)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞