静岡人インタビュー「この人」 盛り土の崩壊メカニズムを研究する名城大4年 夏目将嗣さん(愛知県刈谷市)

 熱海市伊豆山の土石流で、発生原因を究明する県の検証委員会委員を務めた名城大の小高猛司教授(地盤工学)の研究室に所属している。土が水を吸収し、軟化して崩れる過程を調べる実験をサポートした。23歳。

夏目将嗣さん
夏目将嗣さん

 ―どのような思いで実験に臨んだか。
 「実験データが盛り土崩壊を考察する重要な資料になると思うとかなり緊張した。いつも以上に慎重に取り組んだ。熱海の土石流は、雨だけが要因ではなく、人の手が加わった盛り土が崩れて発生した。自分が将来就こうと考えている土木技術者の責任の重さを感じるきっかけになった」
 ―土木の研究に関心を持ったきっかけは。
 「元々はまちづくりの分野に興味があった。3年になって研究室を選ぶ際、将来は自然災害を対象にした研究で社会に貢献できればとの思いが募り、土のことを学べば幅広く生かせるのではないかと考えた。中学生の時に東日本大震災の被災地を訪れたことも、自然災害に関心が向いた背景だと感じている」
 ―「土」を調べる魅力は。
 「研究を始めたばかりで分からないことだらけだが、斜面などの土がどんな力を受けているのかや、土の材料によって地盤の強度が変わる現象を調べるのが興味深い。土の特性を踏まえた設計や、研究と実務の関わりを探るのも面白い」
 ―卒業後の進路は。
 「大学院に進み、引き続き小高先生の下で研究する。自分のテーマである『盛り土の流動崩壊過程の可視化による崩壊メカニズムの解明』は研究室として今年から取り組み始めた。大学院でもみっちり研究したい。その後は建設コンサルタントの分野で働きたい」

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