のらネコシリーズ最新作出版 幻の鳥がすむ島で冒険 大原興三郎さん(静岡)

 のらネコたちの冒険を描く「空飛ぶのらネコ探険隊」シリーズで知られる大原興三郎さん(81)=静岡市葵区、日本児童文学者協会評議員=が、最新作の第9巻「まぼろしの島のドードー」を出版した。「ファンタジーの魅力は過去、未来へも行けること。物語に興味を持ったその先に一歩踏み込んで思いをはせると想像力が広がり、深まる」と、子どもたちに期待する。

 同シリーズは、子ども向け新聞の連載小説を2013年に単行本化したのを皮切りに、年1作刊行してきた。8匹の猫が古代エジプトやインド、南極など時空を超えた旅に出て、マンモスやサーベルタイガーなど絶滅した生き物と出合う。
 第9巻は、いつも旅を先導する風船の気球「のら号」が嵐に巻き込まれて大破し、猫たちは幻の鳥とされる「モア」や「ドードー」がすむ島にたどり着く。「動物保護や地球温暖化防止が大切と訴えても堅苦しくなってしまう」。「絶滅」は子どもたちが興味を示す分野でもある。「難しいテーマをいかに楽しく易しく伝えるかが肝心」と語る。
 大原さんは36歳のとき、「海からきたイワン」でデビューして以来、「おじさんは原始人だった」「なぞのイースター島」など、単行本は共著も含めて65作となる。創作のヒントを探りたいと世界中を巡り、大自然を目にしてきた。約20年前、手に入れたマンモスの牙や臼歯の化石は、ずっしりとした重み。「このマンモスはどこで暮らし、どんな一生だったのだろうと思いを巡らすと、物語が浮かんでくる」という。
 同シリーズは、猫たちがそれぞれの特技を発揮していくところも魅力。「個性あふれる彼らの誕生秘話をオムニバスで紹介してみたい」と次回に向けて構想を練る。
 「空飛ぶのらネコ探険隊 まぼろしの島のドードー」は文渓堂刊。A5判、176ページ、1430円。
 

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