静岡人インタビュー「この人」 塩沢諭さん 音楽文化向上に尽力

 本年度の県文化奨励賞を受けた県演奏家協会の会長。プロのクラリネット奏者として長年活躍するとともに、中学校などの吹奏楽部や市民吹奏楽団の指導者としても尽力し、多くの後進を育成している。72歳。

塩沢諭さん
塩沢諭さん

 -県内のさまざまなジャンルの演奏家約150人が所属する大所帯。受賞の感想は。
 「励みになる。協会を育ててくれた先輩、そして現在関わってくださっている全ての方々による受賞だ。私は代表して賞状を受け取ったにすぎない」
 -自身にとって協会はどんな存在か。
 「1966年に発足した時、私は高校2年だった。設立に向けて中心になって動いたのが、母校の高校で音楽を教えていた高橋松寿郎先生だった。招待券をいただき設立記念演奏会を聞いた。プロになる夢を抱き、学生服で舞台を眺めていた私が今、会長職にあることを不思議な縁だと感じる」
 -協会の魅力は。
 「演奏家同士が横の連携で支え合うこと。これは協会の原点でもある。とりわけ、自分だけでなく“他を生かす”という考えが、今も脈々と継承されている。例えば、新入会員の演奏会では、直近に入った先輩会員がドア係など裏方として支えるのが伝統になっている。県内7支部の活動も活発な一方、最近はブロックを超えた交流の動きも出てきていて、展開がとても楽しみだ」
 -今後の展望は。
 「欧米への留学経験を持つ会員が豊富にいる。海外で多くを経験し吸収してきた音楽家は静岡の宝だと思う。こうした方々と地域との接点を増やしていくことが重要だと個人的に思っている。次世代に向けて、輪を広げたい」
 

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