静岡人インタビュー「この人」 児童文学作家 小川雅子さん

 ポプラ社の「ポプラズッコケ文学新人賞」で2019年に大賞を獲得。20年に受賞作「ライラックのワンピース」が出版された。現在も大日本報徳社の職員として月刊誌の編集をしながら、休日や早朝に執筆。地元文芸グループ「ほんわかブッククラブ」に所属し、読書会にも参加する。掛川市出身。56歳。

小川雅子さん
小川雅子さん

 -デビューを振り返って。
 「裁縫好きな少年がハーブ園で出会った少女にワンピースの直しを頼まれ、成長する物語。掛川市原里の田園風景を想像しながら書いた。出版まで何度も書き直したのは大変だったがそれ以上の喜びがあった。出版には編集、校閲など大勢の人が関わっていることを知った」
 -出版後の反響は。
 「静岡県優良推奨図書、埼玉県夏休みすいせん図書に選ばれ、重版された。初めてファンレターももらった。原稿が手元から離れたときは子どもが巣立ったような気持ちになったが、私の知らないところで大きく育ち、さまざまな人の心を動かしていたと思うとうれしい」
 -これまでの道のりは。
 「幼い頃から作家を夢見ていたが、決心したのは20代後半。受賞までに28年かかった。12年前には掛川市の魅力発信事業に携わり、2年半で150人を取材。多くの人の人生に触れたことが創作活動に生きている」
 -児童文学が育む力とは。
 「人生を肯定する文学。諦めない心を育んでくれた。能動的に立ち向かう力、方向転換する力、己を律する力も養われた。大人になった今でも自分の屋台骨を支えている。応募した作品が落選と分かったころには既に次作に向かうなど、落ち込まずに書き続けた。受賞した今も当時と変わらず書き続けるのみ。現在、2作目を準備中」

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