新法人を設立 DMO目指す 島田市観光協会代表理事/柴田亘氏【本音インタビュー】

 「観光地経営」の考え方に基づく大井川流域の活性化に向け、島田市観光協会は本年度から一般社団法人として新たなスタートを切った。今後、観光庁の観光地域づくり法人(DMO)登録を目指す。事業方針や目指す姿を聞いた。

柴田亘氏
柴田亘氏


 -新法人設立、DMOを目指す目的は。
 「島田市は地方創生戦略の柱に観光を通じた交流人口拡大、いわゆる『稼ぐ観光』を掲げ、初の観光戦略プラン(2021年1月~25年度)を策定した。法人は観光地経営を担うマネジャーの役割を担う。法人格を持つことで自前の資金調達や契約が可能になるほか、補助金、交付金の活用幅も広がり国の支援が充実する観光庁の登録DMOは最適な組織の姿と考える」
 -島田市の現状をどう捉えているか。
 「お茶や蓬莱[ほうらい]橋などの歴史資源、大井川鉄道のきかんしゃトーマス号、川根本町まで足を伸ばせば奥大井湖上駅など大井川流域には多くの資源があり、空港、新東名高速道路など交通網も充実している。一方でまだエリア全体の認知度が低く、魅力的なコンテンツの量も不足気味。宿泊が少なく滞在時間が短い点も課題。客数、客単価の両方を伸ばす上でこれらの課題に対応するアクションが必要だ」
 -どんな事業を行うか。
 「継続事業や既存の収益事業の強化に加え、情報発信、商品開発、流通促進を新たな柱とする。商品開発では販路まで一気通貫した事業者のサポートを通じ、観光消費の拡大を図る。自主財源の確保や人的リソースなど組織の内部的な課題にも目を向ける。自治体の観光予算はそう簡単に増えない。地域の金融機関との連携や幅広いプレーヤーの参画など、多様な手段を組み合わせて組織の自立を目指す」
 -新型コロナが与える影響と、将来の展望は。
 「観光ビジネスは過去に経験のないレベルまで落ち込んでいるが、観光には根源的な需要があり、新しいスタイルも増えてきた。KADODE OOIGAWAの開業はJA大井川、大鉄、市、中日本高速道路の4者連携で進め、官民が前を向いて挑戦する事例となった。協会の一人一人がプレーヤーとなって知恵を出し合い、流域全体で機運を盛り上げたい」

 しばた・わたる 広告代理店や通信販売会社を経て2015年にエクリプス日高に入社、同年から大井川鉄道に転籍した。19年5月から同社取締役副社長。島田市在住。42歳。

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