「地質データ不十分」 静岡県、国交省中間報告に意見書【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題を巡り、静岡県は14日、国土交通省専門家会議の中間報告を踏まえ、県有識者会議の地質構造・水資源専門部会としての意見書を同省に送った。水量予測の精度を高めるため、地質データを追加して取得する必要性を指摘した。工事による上流部の表流水枯渇は、東京電力田代ダムにも影響するとし、枯渇を回避する提案も求めた。

国土交通省専門家会議の中間報告を踏まえた県有識者会議委員の主な意見
国土交通省専門家会議の中間報告を踏まえた県有識者会議委員の主な意見

 同省は昨年12月末、中間報告に関する意見交換と情報共有を目的に、県専門部会としての意見や質問をまとめるよう県に依頼した。これを受けて県は各委員の意見をまとめた。
 意見書は、国交省会議が流況のデータを整理したとする一方で「地質に関する新規データはほとんど示されなかった」とデータの不十分さを指摘。南アルプスの複雑な地質に関しては「数メートルごとに変化する可能性」にも触れた。
 JR東海が最大毎秒2トン減少すると予測している上流部の表流水の枯渇に関しては「生態系に壊滅的な影響が出る。上流部の水に依存する田代ダムの水収支に影響を与えるので、上流部の表流水の枯渇を回避する提案をすべき」と同省に求めた。
 中下流域の地下水量への影響については、「極めて小さい」と表現した中間報告に対して「会議中の議論を反映していない。量をきちんと示すべきだ」と批判した。
 国交省が南アルプスルートを選定した経緯にも踏み込み、「交通政策審議会小委員会で水資源や生物多様性の議論を行っていれば、水資源への影響が小さいルートを採用できた可能性がある」として国交省会議での慎重な議論を要請した。

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