(文/経営戦略室・天野大輔)

2026年2月19日から23日にかけて、ドワンゴが運営する「ニコニコ動画」を舞台に、ボカロ文化の祭典「The VOCALOID Collection ~2026 Winter~(ボカコレ2026冬)」が開催されました。「ボカコレ」の愛称で親しまれる本イベントは、浜松市に本社を置くヤマハが開発した歌声合成技術「VOCALOID(ボーカロイド)」をはじめ、各種音声合成ソフトやキャラクターを軸としたインターネット上の創作の祭典です。5日間の期間中、関連作品の投稿数は6400件以上に及び、盛況のうちに幕を閉じました。
ボカコレでは、投稿作品に対して主催のドワンゴや参画企業からさまざまな褒賞が用意されています。今回、メディアパートナーとして参画したSBSは、ラジオ番組での楽曲放送やクリエイターの番組出演権などを提供する特別賞「SBS賞」を設け、審査の結果、受賞作品はTakoyakiKZYさんの『赤血球 / 重音テト』に決定しました。
ボカコレ2026冬SBS受賞作『赤血球 / 重音テト』
タイトル:赤血球
音楽・映像:TakoyakiKZY(タコヤキカズヤ)
歌唱:重音テト
赤血球として酸素を運ぶシステムの一部となり、「あなたに溶けていたい」と願う―。本作は、そんなどこか無機質な情景に、ふと頬を赤らめてしまうような人間らしい鼓動が同居する異色のラブソングです。物語の主役ではなく生命を維持する役目そのものに殉じようとする献身と、例え実現したとしても4カ月で尽きてしまう赤血球の宿命のようなはかなさを、重音テトの表現力豊かな歌声と疾走感溢れるバンドサウンドに乗せてエモーショナルに描き出しています。
賞の選出にあたっては、ボカロ文化に精通したSBSスタッフ2人が「TOP100」および「ルーキー」部門の投稿作品から約2500曲を視聴しました。長年ボカロシーンを注視してきた選考担当が、楽曲の完成度や独自性を多角的に審査。数ある候補の中から「ぜひSBSラジオで放送し、リスナーへ届けたい」と強く胸を打たれた一曲として、『赤血球 / 重音テト』を選出しました。
薬剤師ならではの視点から生み出された楽曲
TakoyakiKZYさんのアイコン
<受賞者「TakoyakiKZY(タコヤキカズヤ)」さんコメント>
この度はボカコレ2026冬の特別賞である「SBS賞」に、拙作の「赤血球」を選出していただきありがとうございます。私は普段、バンドサウンドやエレクトロサウンドを中心に楽曲を制作しています。今回は、バンドサウンドにより重点を置くことを意識して制作しました。バンドサウンドを意識した理由として、本楽曲のテーマに「赤」という色があり、その色を表現する上でバンドサウンドの方が似合うと考えたためです。また、曲名の通り「赤血球」がメインテーマの楽曲です。私は普段、薬剤師として働いており、人体に関する物事に触れることが多いのですが、ある日、赤血球から想を得てこの曲を作ろうと思い立ちました。赤血球は細胞に酸素を届ける役目を持っていますが、4カ月ほどで寿命を迎えてしまいます。そのはかなさを表現することを目指して、本楽曲を制作しました。MVも自作しており、イラストも自分で描いています。そのあたりにも注目してご覧いただけると幸いです。また、他の楽曲ではアニメーション等も制作していますので、お時間のある方はぜひご覧ください。改めまして、このような素敵な機会と評価をいただき、心より感謝申し上げます。これからも聴いてくださる皆さまの心に残る作品を届けられるよう、精進してまいります。
『赤血球 / 重音テト』は、4月下旬から5中旬月にかけて、SBSラジオの以下の各番組でオンエアするほか、「ゴゴボラケ」において、TakoyakiKZYさんの番組出演を予定しています。
「IPPO」毎週月~金曜07:00 - 09:00放送
「鉄崎幹人のWASABI」毎週月~木曜09:00 - 12:40放送
「ゴゴボラケ」毎週月~木曜13:00 - 16:00放送
「TOROアニメーション総研」毎週月曜19:00 - 20:30
「上田朋子のGoing My West」毎週金曜9:00 - 12:40
「DJ RoniのROUNDABOUT」 毎週金曜13:00 - 16:00
「SATURDAY View→N」毎週土曜07:30 - 11:00
「それいけ!曖昧moco」毎週土曜13:00 - 14:55
「日曜ヒマするあなたに送る ヌンヌンヌーン!」毎週日曜12:00 - 14:00
楽曲の魅力を引き立てる「重音テト」とは?
ボカコレ2026冬のキービジュアル
『赤血球 』の魅力を語る上で欠かせないのが、歌い手である重音テトの存在です。重音テトは2008年、匿名掲示板「2ちゃんねる」の有志によるエイプリルフールのジョークとして誕生しました。その後、歌声合成ツール「UTAU」との出会いを経てバーチャルシンガーとしての歩みを始めましたが、その特殊な出自ゆえか、かつてはその人気の割に、表舞台に立つ機会は限られていました。
しかし、誕生から15周年の2023年4月、「Synthesizer V AI 重音テト」の発売を機に人気が再燃。2025年の「初音ミク JAPAN LIVE TOUR」への初登場や「ボカコレ2026冬」のキービジュアル起用など、今や初音ミクと並びボカロシーンに欠かせない存在となっています。
楽曲制作者のTakoyakiKZY氏自らが手掛けたミュージックビデオは、タイトル通り鮮烈な「赤」が印象的であり、それは重音テトのイメージカラーである赤褐色とも共鳴します。また、かつて「嘘の歌姫」として産み落とされた不安定な存在が、酸素を運ぶという「生」に直結する役割に憧れ、生命の根源である血の巡りに焦がれる姿は、重音テトの軌跡そのものとも重なります。重音テトの歌唱する楽曲は、その存在が内包する文脈を知る者の胸に、歌詞やミュージックビデオのストーリーが持つ質感を、よりリアルなものとして訴えかけます。
ボカロ曲の魅力は、サウンドだけで完結するものではありません。楽曲を彩る動画、歌い手であるボカロキャラクターの個性、そして制作者であるボカロPの背景や想い。これら全ての要素が重なり合うことで、一つの物語が完成します。ぜひ、作品を取り巻くあらゆる要素を全身で感じながら、その深い魅力に触れてみてください。
(c) 線/小山乃舞世/TD
※「VOCALOID(ボーカロイド)」ならびに「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。









































































