東西の名門へ
鈴木選手は今秋の明治神宮大会準優勝の立命館大に、佐藤選手は今秋の東都1部リーグ2位の国学院大にそれぞれ進学することになった。「まずは守備でアピールし、2年までにベンチ入りしたい」と鈴木選手。佐藤選手も「3年でリーグ戦にレギュラーとして出たい」と目標を立てる。
負けて終わった悔しさ
2人は2年時に夏の甲子園を経験したが、3年の夏は静岡大会4回戦敗退。負けて終わった高校野球の悔しさが胸に残っているだけに、今後の野球人生に一層の意欲を持って臨む。
2024年夏、26年ぶりの甲子園出場が巻き起こした〝掛西旋風〟はすさまじく、良くも悪くもその余波をまともに受けたのが今年の3年生だった。
主将を担った鈴木選手は言う。
「(甲子園出場後の)秋はまわりの注目が全然違った。球場の人(観客)の数がすごくて、結果を出さなきゃいけない、打たなきゃいけないという重圧を感じました。グラウンドでのやじも聞こえてきましたし、石川(大峨)が打てなかった時は、ため息もすごかったです」
実戦で際立つ存在感
166㌢と小柄な鈴木選手は日常の練習風景の中では埋もれてしまうが、公式戦となると存在感が際立つ。2年夏の静岡大会は2番二塁手で全試合にスタメン出場し、25打数10安打(打率4割)。甲子園も2試合で9打数5安打2打点と活躍し、3年時は3番に座った。大石卓哉監督は「とにかく実戦向き。状況判断に優れ、チームの流れが悪い時に出塁したり、ゲームの中で力を発揮する選手」と信頼を寄せてきた。
本人も「感性を生かした守備が持ち味」と自信を持っている。目指すタイプは自身と同じく小柄ながらプロで活躍する中日の田中幹也内野手や近大から広島入りする勝田成内野手。「ピッチャーがそこを取ってくれたらうれしいという打球を捕りたい。小さくてもやれるということを示したい」
打って走れる捕手
大石監督が「根っからの野球好きで負けず嫌い。ブレない軸を持った選手で、高校生は浮き沈みが付きものですが〝沈み〟がなく、常に野球と向き合い続けてきた」と評するのが佐藤選手。2年時は1学年上の堀口泰徳選手(立命館大1年)に正捕手争いで敗れたものの、持ち前の攻撃力を生かして三塁の定位置を勝ち取った。2年夏の静岡大会は21打数8安打(打率3割8分1厘)。甲子園では2試合9打数3安打と結果を残した。
2年秋から正捕手になり、チームで1、2位を争う俊足を生かしてリードオフマンを任された。「足を使えるキャッチャー」を目指すとともに、西武ドラフト1位の明大・小島大河捕手のような勝負強い打撃を志す。ただ、掛川西高OBで国学院大4年の榊原遼太郎投手からは「まずは守備」と助言を受けたといい、そこは肝に銘じている。
「(国学院大は)全国からトップレベルの選手が集まる印象。1試合も油断できないという厳しい(東都1部)リーグ戦の環境があるからこそ、チームも自分も強くなるのかなと思う」と、熾烈な競争の中に身を置く覚悟を示す。
育んだ自主性、強みに
大学では主体性が一層求められることになる。「(先輩の堀口捕手から)大学は自由な時間が多いので、そういうところで意識の差が出るという話を聞きました。掛西では日曜がオフだったので、普段の練習の密度が高くなり、やる時はやる、休む時は休むというメリハリを付けてきました」と鈴木選手。
佐藤選手も「オフには本を読んで配球を勉強してました。そういうことは練習の日にはあまりできないので、休みを有効活用しました」と、各自が自分の意思で行動してきたことも新しいステージで強みになりそうだ。
石川から受ける刺激
大石監督は「石川がプロに指名された時、3年生はみんな喜んでいたんですが、そのうち悔しくなってきたようで。自分もプロに行くとか大学日本代表になる、とか言い出したんですよ。面白いですね。高校生ってこういうものなんですね」と、それぞれの活躍が生み出す相乗効果に期待した。(編集局ニュースセンター・結城啓子)
すずき・しゅうへい 2007年4月5日生まれ。浜松市出身。浜松フューチャーズ、浜松南リトルシニアを経て掛川西高入り。高校では1年春に初のベンチ入り。1年秋に二塁手のスタメンに定着。166㌢66㌔
さとう・はやと 2007年9月8日生まれ。浜松市出身。新原野球少年団、浜松麁玉中(軟式)から掛川西高に進学。高校1年秋に初のベンチ入り。2年春に三塁手の定位置を獲得。2年秋から正捕手に。172㌢78㌔








































































