
富士市内で定期開催される「フジヤマフィーバー」は、豪華なゲストを迎えることで知られる。今回は英ロンドン在住のサックス奏者MEGUMI MESAKU(メグミ・メサク)さんがやってきた。
2024年8月に同イベントに出演したギャズ・メイオール率いる「トロージャンズ」のメンバーとしても知られるメグミ・メサクさんは1990年代半ばに渡英し、トロージャンズのほか、トップキャッツ、スカ・クバーノなどあまたのバンドで活躍中。筆者は2005年のフジロック・フェスティバルでスカ・クバーノを見ているが、静岡県内で彼女の演奏を聴けるとは思っていなかった。
メグミ・メサクさんは、岳南地域で1980年代から活動する9人組スカバンドTHE SIDEBURNSとともにステージに現れた。切れの良いレゲエ、スカサウンドに乗せて、イズラエル・バイブレーションなどで知られる「Rockford Rock」や自身のオリジナル「Megumi Special」などを披露した。背骨が一本ビシッと入ったような吹き回し。鈍い光を放つアルトサックスで、豪放磊落かつ繊細という二律背反をいとも簡単に実現していた。

ラストはこの日、1番手として出演した吉原祇園太鼓セッションズも取り上げた「ダヒル・サヨ」。同バンドのメンバーも加わった13人編成で、叙情と熱情がかけ算された大陸的メロディーを奏でた。
メグミ・メサクさんとは旧知の仲であるTHE SIDEBURNSのドラマーTOP DOCAさんが聞き手を務めるトークコーナーもあった。小学校4年生でサックスに出合い、20歳で渡英して押しかけ状態でトロージャンズのリハーサルに加わり、そのままメンバーになった話(「酔っぱらいの勢いですよ」と語っていた)。トロージャンズに在籍していたボーカリストのナッティ・ボウの「歌いたい」という欲求に端を発するトップキャッツ結成のいきさつ。スカ・クバーノ結成のキーマンであるプロデューサー、ピーター・A・スコットの逸話など、興味深い逸話が盛りだくさんだった。

吉原祇園太鼓セッションズの演奏も素晴らしかった。吉原祇園祭のおはやしビートをバンド編成に取り入れた、極めてオリジナリティーの高いサウンド。ノーマイクで客席に音を届ける和太鼓奏者3人にドラム、ジャンベ、ベース、サックス、ギターが加わり、「The Chicken/おだわら」「蝶々さん/にくずし」など8月に出した初アルバムの楽曲を次々披露した。

途中、大太鼓をフリースタイルでたたく場面があった。楽器はそれぞれだが各メンバー、器用に太鼓を扱う。太鼓が「共通言語」となり、会話しているかのようだった。このバンドの原点に祭りがあることを、はっきり思い出させた。

富士地区の豊かな音楽文化を堪能した一夜だった。
(は)


































































