
藤枝MYFCの主将・中川創選手は、ジュビロ磐田に在籍時、思うように出場機会を得ることができずに悔しい思いをしてきました。当時感じた自身への怒り、もどかしさを晴らそうと、誰よりも気合が入った9月20日の「蒼藤決戦」。
藤枝で遂げた成長の跡を存分に発揮し、攻守で輝いたリーダーは試合後、あふれる感情を抑えきれませんでした。ここまで全敗だった古巣を撃破して雪辱を果たし、選手としてまた一つ飛躍。残りの試合も主将として、チームを引っ張り続けます。
―ホームで磐田と対戦した感想を。
ずっと怖かったです。磐田は攻撃においてスペシャルな選手がたくさんいるので、100分間集中し続けないと一瞬の隙でやられてしまう。100分間ずっと怖かったです。
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―激しいコンタクトもあった。いつも以上に気持ちが入っていた部分もあったか。
あったかもしれないです。気負いすぎないようにと自分に言い聞かせてピッチに入ったつもりでした。要所で無駄なファウルをしてしまったのはチームに迷惑を掛けたと思いますが、そこに後悔はないです。
―1点目は自身のボールカットが起点となった。
チームとして、あそこまでボールを取りにいこうというのがうまくはまっていて、僕だけでなくみんなが連動した中であそこで奪えました。シュートは矢村選手にしか打てないような素晴らしいシュートでした。チームで連動してボールを奪えて、最後に矢村選手が良い形で決めてくれました。
―追い付かれた後に少し後手になったように見えた。
中では全く弱気になった感じはなかったですし、自分たちのスタイルを最後までやり通そうと(声を掛け合い)、自信を持ってやれていたと思います。オープンな展開になったりボールをロストする時間帯もありましたが、課題としていた100分間自分たちのサッカーをやり続けるという部分は、失点後もびびらずにできていたと感じます。

―磐田に勝てたことは藤枝にとって大きな出来事となった。
静岡といえば磐田、清水が注目されると思いますが、自分たちも積み上げてきたものがあります。自分たちがこうして勝つということは全国的にも大きな意味があると思います。サッカーはこうでなければいけないと思いますし、気持ちが全部乗った素晴らしいゲームだったと感じます。
―入りから気迫が伝わってきた。自身の中で良いバランスでプレーできたか。
個人的には少し振り切った部分はあります。コントロールできるものとできないものがあるので、内からあふれ出るものは個人的には消してはいけないと思っています。そこで抑えてサッカーをやっても面白くないです。
―その気持ちが1点目のアシストにもつながった。
あれは彼(矢村)にしか決められないゴールだと思います。素晴らしいゴールでした。
―パスを出した場面は矢村選手の動き出しが見えていたか。
ボールを奪ってからは全く見えていませんでした。ただヤム(矢村)が「創!」と言ってくれた声が聞こえたので、そこにいるだろう、ぐらいの感覚で蹴り、たまたまつながってくれました。彼はずっと求めてくれて、厳しい声でチームを鼓舞してくれるので、彼が入ったメリットはすごく大きい。今それが全面に出ていると感じています。

―リードしてからの戦い方がうまくできていた。
声を掛け合っていました。須藤さんが試合前に「俺たちがどこにでも通用すると言っていたのは間違いだった」と言ってくれました。「俺たちのサッカーをみんなびびって怖がっている。だから俺たちはやれる。相手が俺たちをリスペクトしてブロックを引くこともあるのだから、自分たちのスタイルを自信を持ってやり続けよう」と言ってくれたので、本当にピッチにいる選手たちは(勇気を持てた)。
失点シーンもビルドアップのミスかもしれないのですが、チームとしてやらなければいけないことだったので全然問題ないとみんなで話しましたし、自分たちのスタイルでやろうと中で話せていたので本当に良い形だったと思います。
―真っ向勝負で勝てた感覚はあるか。
あります。前回対戦はどちらかといえば受けに回り、リスペクトしすぎたサッカーになって最後の最後に失点して負けてしまいました。今回は自分たちからアクションを起こしてボールを奪いにいっていましたし、ボールも動かせていたと思います。感覚としては五分五分でやれていたと感じます。
―須藤監督が、試合前の中川創選手の言葉が空気を変えたと話していた。どんな話をしたのか。
2年前に藤枝に来た時は、自分のせいでつまらないサッカー人生になっていた。出場機会をなかなか勝ち取れなかったもどかしいサッカー人生の中で、あまり楽しくなかったけれど、ここに来て本当にみんなに出会えて良かったと言いました。スタッフ、スタジアム、サポーター含めて本当にこのクラブが大好きだから、今日はクラブのために勝ちたいと改めて伝えました。
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―勝利の瞬間に感情が爆発していた。泣いていたわけでは。
ちらっと、(涙が)出ちゃいまいました笑
―強敵との対戦が続く。残りの試合をどう戦いたいか。
間違いないものが今は確実に自分たちの中にあり、みんなやれるという感覚が身に染みていると思います。どんな結果になろうとも、自分たちのサッカーを一貫してやり通すことが、こうして勝利にもつながります。本当に信じてやるのみだと改めて感じているので、残りの試合も全て楽しみです。