高齢者を転倒から守る『転んだ時だけ柔らかくなる床』5メートル歩けばわかるAIで歩行解析も
右大腿骨の骨折で入院されている上皇后 美智子様が10月8日朝、手術を受けられました。
寝たきりになるなど深刻な状況を招く危険性がある高齢者の転倒ですが、静岡県内ではそのリスクを軽減しようというさまざまな取り組みが進められています。
10月20日に90歳の誕生日を迎えられる上皇后様。10月6日夕方、お住まいの仙洞御所で転倒し、右脚に強い痛みが続いていました。
その後、右大腿骨の上部を骨折したことが分かり、10月8日朝、入院している東大病院で手術を受けられ、無事、終了したということです。高齢者の転倒は、けがをして体が不自由になるだけでなく深刻な事態につながる恐れがあります。
厚生労働省の調査によりますと、2022年に転倒や転落などによって亡くなった高齢者は1万809人。交通事故の5倍以上となっています。高齢者の転倒事故を防ごうと静岡県内でもさまざまな開発などが進んでいます。
<撮影者>
「いつも通り、ゆっくりで大丈夫ですのであちらのマットまで歩いて下さい」
<撮影者>
「お願いします」
スマートフォンを手に後ろ姿の動画を撮影して行っていたのは、AIの技術を使った歩行解析です。10月8日、富士市では人工知能を使って歩行解析をする体験イベントが開かれました。5メートルの距離を歩いてAIで歩き方を解析します。
<撮影者>
「左右差とリズムのところが少しだけ下がってきてしまっているので、足がもつれたりとかして転んでしまう危険性があるよ」
わずか数分で結果がわかり、改善のポイントやおすすめの運動方法を教えてくれます。
<参加した人(77歳)>
「けっこうつまづいたり、転びそうになっちゃうことがあるから、なるべく運動というかそんな感じで」
こちら、浜松市中央区のスタートアップ企業「マジックシールズ」が開発したのは転んだ時にだけ柔らかくなる床「ころやわ」です。
<マジックシールズ 下村明司社長>
「実は私の祖母が転んで骨折して寝たきりになって、転倒骨折が社会課題と知って開発した。特にこの『ころやわ』は大腿骨の骨折にフォーカスしていて、骨が当たった時に ぎゅっとつぶれる」
「ころやわ」の秘密は内部に敷き詰められた特殊な緩衝材です。
<浜松総局 寺坂元貴記者>
「通常は足の裏や車いす、杖などを支える硬さがありますが、転倒時は床面がへこみショックを吸収することで骨折などのリスクを減らします」
転倒時の衝撃はフローリングの半分ほどに抑えられるということで、すでに、国内600を超える医療機関や介護施設で採用されています。
<マジックシールズ 下村明司社長>
「どこで転んでもけがしない 転んでも立ち上がれる世界をつくっていきたいと思っています」
「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA
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