「58年の苦労がすっ飛んだ」姉・ひで子さんが喜び語る 袴田巖さんの弁護団が会見 検察の控訴断念で袴田巖さんの無罪確定へ【速報】

袴田巖さんの再審=やり直しの裁判で静岡地裁が袴田さんに無罪判決を言い渡したことを受け、検察が10月8日、控訴をしないことを明らかにしました。袴田さんの無罪が確定します。これを受け、8日午後6時半すぎから、弁護団と姉・ひで子さんが記者会見を開きました。

<袴田巖さんの姉・ひで子さん>
「おかげさまで、控訴は無かったようでございます。これで一件落着で本当に裁判が完全に終わることがとてもうれしく思っています。さっき、聞いたときに『これで終わるんだ』と。58年の苦労というか、そういうものがすっ飛んだ。喜びしか、今のところありません。本当に皆さまにはお世話になりました。長い間、ありがとうございました」
「巖が死刑囚でなくなるということがとてもうれしゅうございます」
「(巖は)もう88歳ですからあまり多くを望みませんが巖には長生きしてもらいたいと思います。もう10年ぐらいは生かしていただきたいと思っております。なるべく長生きをさせたい。生活そのものはごくごく平凡に静かに暮らしていければいいと思っています」

<小川秀世弁護士>
「検察から連絡をいただくという申し入れをし、何度も電話をかけたが、結局、地検から連絡はいただけなかった。ひで子さんから『これで終わるんだ』と聞いて、やっぱりうれしい。私も改めて、控訴しないことが決まって喜びを噛み締めている。新聞が最初に『断念の方針』という記事を出して、私のほうから地検と高検に電話したが、地検の検事はいらっしゃらず、直通電話もかからなかった。高検にかけたら、最初はずっといなかったが、最終的に検事の直通電話にかけて、どうなっているのか聞いたら『私もいま、確認中である』と。検事も知らないという良く分からない話で、そのままずっときて、最終的に午後5時すぎに検事にもう一度、電話をかけましたら『控訴しないということです。いま確認できました』という話でした。結局、我々のところや、ひで子さんのところに連絡が届く前に、マスコミに情報がいっていること自体も我々としては納得がいかないところです。検事総長が談話を発表して、その内容も私は納得がいかないというか、むしろ端的に言って、けしからん内容だった。袴田さんの有罪立証がまだ出来るかのような、そんなことを言っているが、判決を見て、再審請求審で『5点の衣類』について中心証拠で他の証拠は有罪立証は出来る証拠ではないことは、すべての裁判所が言ってきたことで、それについて結局、再審公判でもその立証を延々とやって、今回の無罪判決で、袴田さんは有罪立証できないものだったとはっきり言われていて、血痕に赤みの残る可能性があると言っただけでは何の意味もないということを言われているにもかかわらず、まだそんなことをおっしゃっているのは、一体この裁判を、これらの証拠をどう評価されているのか、きちんと報告を受けて正しい談話をしているのか、そんなことでは、検察は全然反省するようなことがないじゃないですか。まったくけしからんことだと強く思っています」

1966年、旧清水市で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」。逮捕された当時30歳の袴田さんは1980年に死刑が確定しました。2014年、再審=裁判のやり直しが認められ、48年ぶりに拘留が解かれましたが、死刑執行の恐怖により袴田さんは精神が不安定になる「拘禁症」が残りました。

そして、9月26日。再審で静岡地裁は、袴田さんに「捜査機関により証拠がねつ造された」として無罪を言い渡していました。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1