リニア中央新幹線の工事をめぐり、この週末はさまざまな動きがありました。静岡県の鈴木康友知事は、山梨工区のボーリング調査の現場を初めて視察し、国の有識者会議と大井川流域の意見交換会には静岡市が初めて参加しました。
<静岡県政担当 坪内明美記者>
「いま、鈴木知事が、リニア山梨工区ボーリング調査の現場に到着しました」
リニア中央新幹線のトンネル工事をめぐり、JR東海は地質や地下水を調べるため、山梨県から静岡県に向かってボーリング調査を行っていて、10月4日の時点で県境まで257メートルに達しています。
<静岡県政担当 坪内明美記者>
「山梨工区の現場です。先進抗のすぐ横でボーリング調査が行われていて、調査によって出た湧水が確認できます」

鈴木知事は10月5日、山梨県の長崎幸太郎知事とともに調査現場を初めて視察し、進捗の状況や湧水の計測方法などについて説明を受けました。
<JR東海担当者>
「ただいま、湧水量を計測をいたしまして、毎分36.8リットルでございます」
JR東海は、リスク管理のため、湧水量の管理値などを設定し、9月19日以降の平均の湧水量は、管理値を下回っているということです。
ボーリング調査をめぐっては、静岡県はこれまで県境付近や静岡県内の実施を認めていませんでしたが、鈴木知事は9月17日、大井川流域の自治体の了解が得られたとして、静岡県内の実施を容認するとJR東海に伝えました。
<静岡県 鈴木康友知事>
「長崎知事と実際に現場で状況を確認できたということは本当に大きな意義があった。実際にきょう湧水の量等を自分の目で見て、順調に(調査が)進んでいることを実感した」
<山梨県 長崎幸太郎知事>
「事実に基づいた、ファクトに基づいた議論をこれから静岡県のみなさんも、山梨県の中でもしていく重要な第一歩になった」
<JR東海 水野孝則副社長>
「両知事に南アルプストンネル山梨工区の現場に足を運んでいただきまして、大変ありがたいと思っております。これからの先進坑、本坑の掘削を慎重に進めてまいります」
一方、6日には静岡県島田市で、国のモニタリング会議の委員と大井川流域の市長や町長との意見交換会が開かれ、森貴志副知事と静岡市の難波喬司市長も参加しました。

意見交換会では、大井川流域の首長が、静岡県が県境付近や静岡県内でのボーリング調査を容認するなど、事態が早急に進んでいることに対する住民からの不安の声などを共有しました。
<島田市 染谷絹代市長>
「モニタリング会議は、市民のみなさま、流域のみなさまが安心したと言っていただけるまで(続ける)と座長からお話をいただいた。きょうの先生方のお話は、とても納得のいくものであり、安堵できるものであった」
<モニタリング会議 矢野弘典座長>
「ここでいろいろな出された課題は、未解決の問題もありますけれど、大事にして今後の会議に生かしていきたい」
静岡市は今回、初めて協議に参加しました。
<静岡市 難波喬司市長>
「8市2町がいろいろな事をおっしゃったので、まったく同感ですと申し上げた。市民の声を伝える場として、非常にいい場だと思うので、これからもぜひ続けていただきたい」
参加したメンバーたちは、リニア関係者の全員が集まったことは大きな成果で有意義な意見交換ができたと話しました。