藤枝MYFCのエース矢村健が市立船橋高の先輩ペナルティ・ヒデと“部室トーク”「人生で一番濃かった時代」
ヒデ:高校はどちらでしたっけ?
矢村:船橋市立船橋高校(千葉県)です。
ヒデ:先輩に挨拶遅くねぇか!どうなってるんですか!?(ヒデさんは市立船橋高校出身)
矢村:いや、ラジオに呼んでほしかったんですけどね〜。去年何人か選手を呼んでもらっていたので、ヒデさんと同じ高校の僕も呼んでもらえるんだろうなあって思っていたんですけど、全然お誘いが来なくて。
ヒデ:俺もヤムケン(ニックネーム)を呼びたいって言ったんです。そしたら広報の人が「いやいや、ヤムケンですか、まだちょっと早いですよ。点を取ってからにしてください」って言って。今めちゃくちゃ点取ってんじゃねえか!
鬼頭:もう藤枝MYFCのエースでございますから。
ヒデ:僕、高校のOB会1度も行ったことがないんですよ。今まで全然会えなかったんですけど、今日ようやく会えたということで、いろんなお話ができたらと思います。
2歳からボールを蹴っていた
鬼頭:今、矢村さんは27歳で、ヒデさんは50代になります。同じ高校でも、大先輩と後輩という形になりますね。ヒデ:体育の先生と校長先生ぐらいの差でしょ、多分。
鬼頭:ご出身は東京です。
ヒデ:シティボーイだったんだ。サッカーを始めたのはいつ?
矢村:2歳ぐらいから友達とボールを蹴ってたらしいです。
ヒデ:「キャプテン翼」の「大空翼」のパターンですよ。
なぜ市立船橋高校に?
ヒデ:なんで市立船橋高校なの?いろんなとこからオファー来てたでしょ?矢村:高校はユースに上がろうと、いろいろセレクションを受けたんですけど、なかなか…。中学も上手く受からなくて…。そしたら、市立船橋高校から声をかけてもらって、「もう迷わず行く」っていう感じでした。
ヒデ:その時は布啓一郎監督?
矢村:いや、朝岡隆蔵さんでした。布さんの次の次の監督です。
ヒデ:1代目の徳川家康から2代目秀忠、3代目の家光へ。本当に天下泰平の時代でしょう?市立船橋高校の名前も世にとどろいてて。うらやましい…(笑)
鬼頭:ヒデさんは礎を作った世代ですからね。
全国高校選手権の悔しさバネに
鬼頭:市立船橋高校時代、矢村選手は3年生のときに全国高校サッカー選手権大会に出場して、この大会で優勝した東福岡に3回戦で敗れました。PK戦までもつれる激戦になったと。ヒデ:悔やまれるけどね〜。僕も見させていただいて、感動しましたけども。
鬼頭:矢村選手は優秀選手に選ばれたそうですが、このPKはどんな感じだったんですか?
矢村:インターハイも全国高校サッカー選手権大会も、東福岡高校にPKで負けたんですよ。
ヒデ:機は熟して、リベンジのチャンスだったんですけどね。
鬼頭:同じ世代の東福岡高校出身の人で、今Jリーガーの選手はいらっしゃるんですか?
矢村:毎熊晟矢選手(オランダ ・AZアルクマール)とか。市立船橋高校だと椎橋慧也選手(名古屋グランパス)たちが活躍してます。
ヒデ:時間が経った今、どんな大会でしたか?
矢村:どっちかっていうと、インターハイは負け気味だったんですよ。選手権では結構チャンスもあったので、「勝てたなあ」と思う試合でした。
ヒデ:その悔しさがあったからこそ、今の活躍があるのかもしれませんが。
ヒデの市船時代、爆笑エピソード
鬼頭:藤枝MYFCでインタビューしたときに、同じ高校のヒデさんにいろいろ聞いてみたいっておっしゃってましたが?矢村:サッカー部で一番思い出に残ってることを聞きたいですね。
ヒデ:みんなが知らないことだと、部室ってもう新しくなってた?新船橋駅の近くにあったのは知らない?
矢村:知らないです。
ヒデ:俺らたまに休みがあってね。そうすると、キャプテンが先生に呼び出されて、「何だろう?」と思ってみんなそわそわしてるわけよ。部室で待ってたら、キャプテンがドアをガラッと開けて、「今日休み!!」って言うわけ。
鬼頭:ドラマみたい(笑)
ヒデ:みんなで「やったぁぁあ~!!」って飛び上がって喜んだら、1個上の先輩の頭が天井にズボって入って!そのまま「ダーッ」と頭をこすって、血だらけで降りてきたのよ。血が「バーッ」て流れてた。先輩は、せっかくの休みを病院で過ごすという。後日、「ジャンプして天井に届くのか」っていう検証をしたんだけど、届かない…!
矢村:相当喜んだんですね(笑)
ヒデ:この話、大丈夫ですよね?
鬼頭:これは大丈夫、自主的なジャンプだから。「飛べ」って言われたわけじゃないからね! おっかしい…バッカだねぇ…(笑)
ヒデ:この辺でよろしいでしょうか?
矢村:ありがとうございます(笑)
ヒデ:今度飯とか食いながらね。
鬼頭:これ完全に部室トークだよ!
ヒデ:俺の話いいのよ、ヤムケンの話聞きたいんだから!
一番濃かった高校時代
鬼頭:ヤムケンさんの時はもうもちろん名門ですから、部員の数もすごかったでしょ?矢村:3学年でも100人いかないぐらい、90人ぐらいですね。
鬼頭:今もいい思い出ですか?
矢村:めちゃめちゃ濃いですね。そこが一番人生の中で濃かったし、友達とかもその分深い絆っていう感じはあります。
ヒデ:それに耐えたから、何でもできちゃうというかね。
矢村:そうっすね。
ヒデ:「蛇に噛まれろ」なんて仕事、怖くも何ともなかったもんね。
鬼頭:噛まれないでください(笑)
「プロになるやつはどこに行ってもなる」
鬼頭:市立船橋高校を卒業した後、新潟医療福祉大学に進学して、卒業後にアルビレックス新潟に加入しました。ヒデ:自分でこの大学にしようって決めたの?
矢村:市立船橋高校は結構早く進路面談があったんです。朝岡さんが担任で、「プロになるやつはどこに行ってもなるから」みたいな感じのことを言われて。当時、自分はケガをしていて、なかなか「いけるかな、いけないかな」みたいな大学もあったんですけど。監督のその言葉をずっと心にとめて大学生活を送っていました。
ヒデ:その言葉通り、アルビレックス新潟に。これは嬉しかったよね?
矢村:嬉しかったです。
藤枝で取り戻した「ギラギラ感」
鬼頭:大学とプロの世界って違うことが多いと思うんですが、一番大変だったことは?矢村:最初はパワーもスピードもそうですし、「自分をどう上手く出すか」っていうところでちょっと悩んだ時期はありましたね。
ヒデ:どんどんアピールしていかないとね。上はどかないし、下からどんどん突き上げがあるもんね。
鬼頭:昨シーズン、藤枝MYFCに期限付き移籍しました。
ヒデ:そこから現在8ゴール。何がどう変わったと思います?
矢村:試合に絡めるところが一番大きいのかなと思います。新潟のときにちょっと失いかけてた、フォワードとしての自信、がむしゃら感やギラギラ感っていうのが、また出てきたかなと思います。
ヒデ:「強引でも最後自分でフィニッシュ決める」、「最後は自分で終わらせるんだ」みたいなのも随所に出てるし。それが結果に繋がってきたから、パスもどんどん来るようになってますもんね。これが大事なんだよね、フォワードって。
矢村:周りに「どういう形の(パス)がほしい」と伝えているので、自分の動き出しを見てくれる選手は多いですね。
ヒデ:藤枝MYFCは超攻撃的なチームだから、本当にフィットしてる感じがあるね。
鬼頭:現在24節まで終わり、勝ち点30で12位。この状態はどうですか?
矢村:勝ち点を拾える試合で拾えなかったっていうところが、今この順位にちょっと響いてるような感じもあります。勝ち点1もそうですけど、勝ち点3にもっとこだわらないといけないのかなと思います。
「15周年アニバーサリーマッチ」で見えた勝利への思い
ヒデ:「15周年アニバーサリーマッチ」の話です。鬼頭:先日(7月13日)の愛媛戦ですね。
ヒデ:「1万人行こうぜ!」っていう目標には、惜しくも9640人で届きませんでしたが…。それでも、過去最多のサポーターの皆さんが駆けつけてくれました!
矢村:自分に決定的なチャンスがあったので、「決めとけば…」っていうのが最初に出てくる感想ではあります。
でも、藤枝MYFCの歴史が新たに塗り替わったような感じの雰囲気でした。その試合を勝ちに転がすことができていれば…。これからもっと見てくれる人が増えるチャンスがあったので、すごく悔しさの残る一試合でした。
ヒデ:でも、「勝ちに行こう」「勝つんだ」っていう気持ちはしっかりと伝わってきた。
鬼頭:あふれてましたよ。
ヒデ:この気持ちをずっとキープしていくことで、おのずと勝ちは転がってくるし、サポーターも増えていくだろうなと思います。もっともっと会場を藤色に染めてもらいたいね。
質問コーナー
鬼頭:質問がたくさん来ています!サッカーを始めた頃からポジションはフォワードだったんでしょうか?矢村:ずっとフォワードです。小学校の頃はPKではキーパーをやったりしました。
鬼頭:好きなサッカー漫画はありますか?
矢村:サッカー漫画を読んだことがないです。漫画はワンピースくらいですね。
鬼頭:暑い日が続いてますが、好きなアイスはありますか?
矢村:難しいな…。チーズケーキ好きがなんで、そういう系ですかね。
ヒデ:スイーツはたまのご馳走、ご褒美という感じ?
矢村:はい。たまーにですね。
ヒデ:真面目なんだな。
アウエーにも持っていく“ミル”
ヒデ:誰と仲いいですか?矢村:大曽根広汰選手と榎本啓吾選手は、よく一緒にいますね。
ヒデ:一緒にいて何すんの?
矢村:大曽根選手は、家にご飯食べに来たりします。啓吾は、いつも横にいるような感じです。新幹線の席とか、2人組でボール蹴るとかなったときに、いつも一緒ですね。
鬼頭:矢村選手、コーヒーが好きということですが、こだわりは?
矢村:電動ミルと手動ミルどっちも持ってて、豆から挽いてます。遠征にも持って行ってます。
鬼頭:え、持って行くんですか!どこの豆が好きとかあるんですか?
矢村:深煎りは「堀口珈琲」さんが結構好きですね。浅煎りは「FUGLEN」さんとか「single O」さんでネットで買ってます。
ヒデ:きっかけは?
矢村:アルビレックス新潟時代に、早川史哉選手とよく一緒にカフェに行ってました。それまで勉強とかの眠気覚ましという感じでコーヒーを飲んでたんですけど、そこでふと「美味しい!」と思って。早川選手もやってたんで、自分もやってみようと思って始めました。
鬼頭:緊張とかプレッシャーとかストレスの中で、ちょっと心落ち着ける時間っていうのがね。
ヒデ:大切なんだろうね。コーヒーを入れる時は、何も考えずに気持ちが「ふぁ〜」っと穏やかになる瞬間でもあるんでしょうねえ。
「しっかりプレーオフに」
鬼頭:8月3日にリーグが再開します。意気込みと、今シーズンの目標をお願いします。矢村:ここまで勝てる試合を勝ち切れなかったことがあったので、ここから一つでも多く勝って、プレーオフをしっかりと目指したいです。個人としては、今8ゴールですけど、2桁に乗せて、自分のゴールでチームの勝利に貢献できればいいなと思います。
これから夏場暑くなりますけど、さらに熱い応援で一緒に藤枝MYFCを盛り上げてくれれば嬉しいです。
鬼頭:ますますゴール見たいですね。
ヒデ:ね~。
サッカー大好き芸人、ペナルティ・ヒデと、サッカー中継のリポーターとしても活躍する鬼頭里枝の2人がお送りする番組。Jリーグから海外サッカー、ユース世代、障がい者サッカーなど幅広くスポットを当て、サッカーを通して静岡を盛り上げます。目指すは「サッカー王国静岡の復権」です!