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サッカー静岡県高校総体 富士東のジャイアントキリングはどこまで続く?快進撃を支えているものは、何? 


サッカーの静岡県高校総体で富士東の勢いが止まらない。東部地区予選7位通過のチームが、1回戦でPKの末に静岡東を振り切ると、2回戦でプリンスリーグ勢の藤枝明誠に1−0のジャイアントキリング。3回戦は実力校の袋井に2−0の完勝。県高校総体のベスト8入りは1984年以来、実に40年ぶりという。

「相手のエースが途中でケガをしてしまったり、相手のシュートがバーに当たったり。すべての流れがこちらに傾いてるような…。信じられない試合が続いています」。

袋井戦後、報道陣に囲まれた増田裕監督は最後まで控えめな姿勢を崩さなかった。

だが、決して「運」ばかりに支えられた快進撃ではないだろう。

「1対9」でボールを握られた藤枝明誠戦

選手たちによると、藤枝明誠戦は「1対9か、2対8の割合」でボールを支配された。GKを除く相手の10人が常に自陣にいる状況で波状攻撃を受けたが、全員で体を張り続けたという。

富士東のゴールは敵陣深くで得たスローインから。相手守備陣の足が止まった一瞬の隙を逃さず、クロスのこぼれ球を押し込んだ。まさにワンチャンスだったという。

「プリンスリーグ勢と1点勝負をするぞ」

目を引くのは、11人全員の守備意識の高さだ。地区予選は前線から相手を追い掛けてボールを握るスタイルを志向したが、県大会は自陣でしっかり守備ブロックをつくってカウンターを狙うスタイルにシフトした。割り切った戦術が奏功しているという。

富士東はこれまでも県大会には出場してきたが、プリンスリーグ勢に5点、6点を奪われての大敗が続いていた。格上に痛い思いをさせられてきたチームは今大会、たとえ不格好でも勝利に近づく戦術を選択。練習では4対6や6対8など、数的不利の状況での守備練習を徹底して行ってきたという。

増田監督は「この子たちには『プリンスリーグ勢と1点勝負をするぞ』と言い続けてきたんです」と明かす。

冨永悠太と飯塚元希のCBコンビ

最終ラインを統率するのは、1年時からレギュラーでコンビを組む冨永悠太(エスパルス富士出身)と飯塚元希(吉原一中出身)のセンターバック。

最終ラインを統率する(左から)飯塚元希と冨永悠太


主将を務める冨永は抜群のリーダーシップで周囲を鼓舞する姿が印象的だ。増田監督は「ハートが強く、1年生の時から先輩よりも声を出していた」と目を細める。

飯塚は173センチと高さはないが、高い身体能力でつぶし役に徹することができる。中学までは攻撃の選手だったが、増田監督の「やってみないか」という入学直後の一言でディフェンダーにコンバートされた。指揮官の“秘蔵っ子”とも言える選手だ。

準々決勝は、県大会で8強入り常連の聖隷クリストファー(西部地区2位)とぶつかる。飯塚は「ベスト8が目標だったけれど、ここまできたら次も勝ちたい。今まで通りがっちり守って、1本信じたい」と力を込める。

劣勢は覚悟の上。捨て身でゴールを守り、少ない好機にかけるつもりだ。


 
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