
静岡県高校総体サッカー男子の決勝は6月7日13時半から、袋井市のエコパスタジアムで行われる。初優勝を目指す浜松開誠館か、7年ぶりの頂点を狙う藤枝東か。激戦必至の実力校対決を占う。
実力校が真っ向から激突
前評判が高いのは、王者の静岡学園を倒して勝ち上がってきた浜松開誠館だろう。プリンスリーグ東海でも5勝2敗で2位をキープ。リーグ最少5失点の堅守を武器に、藤枝明誠やジュビロ磐田U-18、東海大翔洋などの難敵を打ち破っている。
一方の藤枝東はプリンスリーグで1勝2分け4敗の9位と残留争いに巻き込まれている。今大会も3回戦の浜名戦と、準決勝の磐田東戦はPK勝ち。辛うじて決勝まで勝ち上がってきた印象だ。
ただ、両チームが激突した4月19日のプリンスリーグ第3節は、藤枝東がPKで奪った1点を守りきって1−0で勝利している。藤枝東イレブンもファイナルの舞台に臆することなく立つことができるだろう。
浜松開誠館「闘う、走る、粘る」の伝統貫く
浜松開誠館は伝統のスタイル「闘う、走る、粘る」に加え、ボールを奪った後の展開力に注目だ。中学時代に全中制覇を果たした右MF川合亜門やトップ下の岡田瑛太(ともに浜松開誠館中)ら技術の高い選手を前線にそろえ、長短のパスで攻撃に変化をつけていく。浜松開誠館のMF加藤涼(5)
シズサカが注目するのは、ダブルボランチの一角を担う加藤涼(TSV四日市1973)と、2年生ながら最終ラインを統率する磯部舜也(フォルトゥナ)だ。
加藤は161センチと小柄ながら、尽きないスタミナと闘争心を併せ持つボールハンター。筋骨隆々の体を激しくぶつけ、攻守のつなぎ役をこなす。3年前の全国高校選手権で大津(熊本)をあと一歩まで追い詰めた浜松開誠館の戦いぶりを見て、「ここでやりたい」と三重からやって来た。
浜松開誠館のDF磯部舜也
磯部は常に手をたたきながら仲間を鼓舞し、どんな場面でも逃げずに体を張ることができる頼もしいセンターバックだ。チームOBでJ1京都サンガで活躍中のDF須貝英大と同じ山梨県のフォルトゥナFC出身。尊敬する同郷の先輩と同じ道を歩もうと、浜松開誠館の門をたたいた。
大一番に向け、磯部は「自分たちが持っているものをすべて出して、最高のプレーがしたい」と目を輝かせる。
藤枝東、パスサッカー復活なるか
対する藤枝東も小細工なしの真っ向勝負を仕掛けるだろう。注目が集まるファイナルで、伝統のパスサッカーをオールドファンに披露したいところ。セカンドボールやこぼれ球の争奪戦で相手のお株を奪うような戦いができるかどうか。シズサカが注目するのは、1トップを担う木全悠太と、伝統の10番を背負うMF泉孝太郎。文武両道を目指してサッカーの街にやって来た、FC東京むさし出身コンビだ。

藤枝東の木全悠太(左)と泉孝太郎
木全は強さとうまさを兼ね備えたストライカー。決勝は最前線でどれだけボールを収めて時間をつくれるかがポイントだ。まだ今大会はゴールがなく「決勝で爆発したい」と力強い。
泉は準決勝でも土壇場で同点弾をたたき込むなど、多くの大舞台でゴールに絡んできた勝負強さが光る。「開誠館は今年はうまい選手が多く、例年とは違う強さがある」と警戒感を強めている。
藤枝東のMF望月瑠斗
流れを変える切り札として投入されるMF望月瑠斗(藤枝東FC)にも注目だ。藤枝東には周囲との連係で突破していくタイプが多い中、この2年生は左サイドを果敢に「個の力」で切り開いていく。
がっぷり四つの攻防に期待

藤枝東の植松弘樹監督(左)と浜松開誠館の青嶋文明監督
両チームとも準決勝は4−2−3−1の布陣だった。ミラーゲームになれば、がっぷり四つの見応えある攻防が期待できそう。試合の流れが両チームの間を行ったり来たりする中で、自分たちの時間帯が訪れた時にチャンスをしっかり生かしたチームが頂点にたどり着くだろう。
浜松開誠館の青嶋文明監督は準決勝後、「選手たちが一番臨んでいた舞台を経験できることに感謝して、準備を楽しみながらゲームを迎えたい」と話した。
藤枝東は昨年決勝で静岡学園に敗れている。就任1年目の植松弘樹監督は「昨年の悔しい思いも背負って戦う。高い強度でファイトしてくる相手に対し、自分たちも怯まず、勇気をもってプレーしたい」と語る。
