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河治良幸

サッカージャーナリスト河治良幸

サッカー日本代表は男女とも本大会へ!”静岡県勢”のパリ五輪メンバー入り候補を探る

パリ五輪の予選を兼ねたU-23アジア杯で、大岩剛監督が率いる日本が本大会の出場権を獲得、ファイナルにも勝利してアジア王者に輝いた。これで先に出場権を獲得していた女子と揃ってパリ行きを決めたわけだが、静岡県勢から誰が、男女それぞれ18人という少数精鋭のメンバーに選ばれるのか。

関根大輝(静岡学園高出身)はほぼ当確か…


男子で最も選出の可能性が高いのは静岡学園高の出身である関根大輝(柏レイソル)だ。拓殖大に在学中ながら、前倒しで柏とプロ契約した関根は開幕戦から右サイドバックのスタメンを掴み、そのままU-23日本代表での活躍に繋げた。

187センチとサイドバックではかなり恵まれたサイズながら、“シズガク”仕込みのテクニックと持ち前の明るいキャラクターで、オンオフ両面で大岩ジャパンに欠かせない存在になってきた。U-23アジア杯で右サイドバックの主力としてパリ五輪出場、アジア制覇を支えた関根はよほどのアクシデントがなければ、パリ五輪も当確に近い。

鈴木海音(ジュビロ磐田)はクラブでの活躍次第


次にメンバー入りの可能性が高いのは鈴木海音(ジュビロ磐田)だが、U-23アジア杯ではスタメン1試合、途中出場が1試合と不完全燃焼に終わり、準決勝でのパリ五輪の出場権獲得、決勝でのアジア制覇をベンチから見届けることになった。

表彰式では満面の笑顔で仲間たちと喜びあっていたが、悔しさを押し殺していたという。現時点でセンターバックは高井幸大(川崎フロンターレ)と木村誠二(サガン鳥栖)が有力で、オーバーエイジの招集もささやかれるが、J1の磐田でスタメン出場を続けながら、無失点勝利などで浮上させれば十分にチャンスはある。

大岩監督(清水商業高出身)の胸中は…


JFAアカデミー福島出身で、中学時代を御殿場で過ごしたMF植中朝日(横浜F・マリノス)が、U-23アジア杯で招集外となった悔しさをACLの舞台にぶつけてファイナル進出。ホーム&アウエーで行われる決勝のファーストレグで、貴重な同点ゴールを決めるなど、存在感をアピールしている。

前からボールを奪う守備は大岩監督にも高く評価されており、点を取るという仕事を代表とは違うアジア最高の舞台で見せつければ、逆転でのメンバー入りが見えてくる。

植中朝日(JFAアカデミー福島出身)は逆転でのメンバー入りなるか


その植中と同じJFAアカデミー福島で育った三戸舜介(スパルタ)は”欧州組”として、おそらくクラブ事情でU-23アジア杯には参加できなかったと考えられるが、本来の主力選手の一人であり、代表側の拘束力がない五輪でクラブの許可が出れば、メンバー入りは濃厚だ。

ここ最近は怪我から復帰した同僚の斉藤光毅の調子もよく、タレント揃いの2列目で、限られた枠を大岩監督がどう考えていくか。A代表の久保建英(レアル・ソシエダ)や欧州で評価が急上昇している元清水の鈴木唯人(ブレンビー)の招集有無も影響してくるかもしれない。

なでしこジャパンの杉田妃和(藤枝順心高出身)は…

女子は藤枝順心の出身であるMF杉田妃和(ポートランド・ソーンズ)が昨年の女子W杯に続いてメンバー入りしそうだ。左ウイングバック、2シャドー、ボランチの3ポジションをこなせる杉田の存在は池田太監督が率いる”なでしこジャパン”でも貴重だが、どのポジションでもファーストチョイスにはなれておらず、そこが18人という枠での不安要素ではある。

同じ藤枝順心のOBであるFW千葉玲海菜(フランクフルト)は冬に欧州移籍を果たしたが、現地ではリーグ戦1得点にとどまっており、五輪のメンバー入りにはやや苦しい状況にある。

アカデミー福島組は谷川萌々子、古賀塔子が当確か

選手の可能性が高い18歳のDF古賀塔子


JFAアカデミー福島勢では19歳のMF谷川萌々子(ローゼンゴード)と18歳のDF古賀塔子(フェイエノールト)がほぼ当確で、WEリーグチャンピオンの主力を担うDF石川璃音(三菱重工浦和レッズレディース)も持ち前の対人能力で、対世界を想定すると重要な戦力として招集されることが有力だ。

21歳のGK大場朱羽(ミシシッピ大)は4月のアメリカ遠征(SheBelievesCup)に招集されたが、アメリカ戦もフラジル戦も出場チャンスは無く、正GKのJFAアカデミー福島OBの平尾知佳(アルビレックス新潟レディース)と二枠目を争うことに。

本大会滑り込みを狙う北川ひかる


本来の左サイドの主力候補であるMF遠藤純(エンジェル・シティ)は左前十字じん帯の損傷という大怪我で、7月下旬に開幕するパリ五輪は難しい状況。その遠藤と入れ替わるように、同じ左サイドで北川ひかる(INAC神戸レオネッサ)が台頭しているのは”静岡県勢”からすると皮肉な話だ。また左右サイドバックをこなす守屋都弥(INAC神戸レオネッサ)も北川と同じくアメリカ遠征に招集された勢いをかって本大会滑り込みを狙う。
シズサカ シズサカ

タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。世界中を飛び回り、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。

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