近年、問題となっている海洋汚染。その原因の多くが海に流出した油によるものです。油による汚染から海を守るための製品を静岡県富士市の特別支援学校の生徒たちが開発しました。
県立富士特別支援学校の高等部の生徒たち。古い新聞紙をシュレッダーやミキサーで細かく切断し、一つ一つ手作業で袋に詰めていきます。作っていたのが油の吸収材「Qちゃん」。油を吸収させて処理するための製品です。
海上保安庁のまとめによると、2023年の1年間に確認された397の海洋汚染のうち、油が原因の汚染は65%を占めています。ほとんどが船からの流出ですが、工業排水や一般家庭から出る生活排水も見逃せない原因の一つです。
そこで、生徒たちが開発したのが油吸収材「Qちゃん」。特に力を入れたのは油の吸収力をアップさせることです。
<富士特別支援学校 高等部3年 村谷花凛さん>
「(吸収)実験は14g、15g、16gでどれが1番吸いやすいか実験しました。その中で15gが1番吸ったので今15gで計ってQちゃんを売っています」
<富士特別支援学校 高等部3年 篠原尋さん>
「間違えないように丁寧に15gぴったりで計ることを気を付けています」
<富士特別支援学校 高等部3年 稲葉亜咲さん>
「ゴミがつかないように工夫しているところと、表面をきれいにしています」
改良を重ねた「Qちゃん」で油を吸うと、5分ほどで150ミリリットルを吸い取りました。吸収力がアップしたことでより環境に優しい製品になりました。そして、2月には・・・。
<富士特別支援学校 高等部3年 村谷花凜さん>
「静岡県SDGsスクールアワードで受賞しました」
「Qちゃん」は、静岡県内の学校が参加する「SDGsスクールアワード2023」で県教育長賞と企業賞に輝きました。
<富士特別支援学校 高等部3年 村谷花凛さん>
「QちゃんがSDGsがすごいと認められたのですごく嬉しかったです」
<生徒>
「Qちゃん50円です。いかがですか?」
「環境にいい製品です。ぜひ使ってください」
完成した「Qちゃん」は10個入り50円で、地域のイベントなどで販売しています。生徒たちは、さらにSDGsを実現しようと改良を続けています。
<富士特別支援学校 高等部3年 村谷花凛さん>
「袋がビニールなのでちゃんとSDGsにできるようにビニールではなくて新聞紙など環境にいいものを使いたいと思っています」
<富士特別支援学校 高等部 前田千佳子教諭>
「すごく試行錯誤を今してくれているので、もっとどんどん学びが深まっているなと思います」
<再生事業班の生徒たち>
「Qちゃんは地球を救う!」
3月1日に3年生は卒業前の活動を終え、後輩に引き継ぎました。3年生のリーダーの1人である村谷さんは「少し寂しいが、後輩たちがもっと世界中に全国の人に使っていただくように頑張ってほしい」と話してました。
「Qちゃん」は、学校内の教員の間でも好評で、再生事業班は受注のためのポストを手作りして、職員室前に設置して注文を取る工夫をしているということです。