
「障害はあるけれど モデルになる夢を見つけました」ダウン症の19歳女性 “パリコレ”のランウェイに立つ

海外のファッションショーに出たい。3月2日、パリコレの舞台でその夢を叶える19歳の女性がいます。静岡県富士市に住むダウン症のモデル菜桜(なお)さん。母と手を携えて訓練を積み、パリに向けて飛び立ちました。
2月28日夜、羽田空港の国際線ターミナルにやってきたのは、長い髪と笑顔が素敵な齊藤菜桜さん(19)。

<菜桜さん>
Q菜桜ちゃん、これから行くのは?
「パリ、パリコレです」
菜桜さんは、ファッションの都フランス・パリで開かれる「パリコレ」に初挑戦するモデルです。
<菜桜さん>
「菜桜はダウン症です。障害があるけれど、モデルになる夢を見つけました」
5年前から“障害者モデル”として本格的に活動をはじめた菜桜さんは、ファッション誌に掲載されたほか、東京ガールズコレクションにも出演しました。

ダウン症の菜桜さんは、筋力が弱いため、姿勢を保つのが難しいほか、視線を定めづらいなどのハンデがあります。投げ出しそうなこともありましたが、レッスンを重ね、少しづつ成長を遂げてきました。
<菜桜さんの母・由美さん>
「ちょうど5年なんですね。2月10何日で。ほんとにびっくりするほど」
<LB‐MODEL SCHOOL 望月ちか代表>
「垢ぬけましたね、本当に」
高校を卒業し、19歳となった菜桜さん。B型事業所で梱包や仕分けなどの仕事で収入を得ながら挑戦を続けています。

母親の由美さんは、菜桜さんが誕生した直後にダウン症という事実を受け止めきれなかったと振り返ります。
<菜桜さんの母・由美さん>
「出産して、そのあと数時間後に病院の先生から染色体異常の疑いがあるってことを告知されて、もう頭が真っ白になって。その当時は私は何もそれは受け入れられなかった」
そんな由美さんの心を動かしたのは、菜桜さんの笑顔でした。
満面の笑顔で『ママ、菜桜だよ』

<菜桜さんの母・由美さん>
「看護師さん『かわいいでしょって笑うんだよって。あの、ちゃんと見てあげて』なんて言われて、『あ~そっか』って。もう、その時に目をキラキラさせて、私の顔を見ても満面の笑顔で、『ママ、菜桜だよ』って言っているように感じて」
17回にわたる手術を乗り越え、大きく成長した菜桜さん。障害者モデルとしてファッションショーにデビューしたのが10年前。「また、ショーに参加したい」と出演を重ねてきた結果、世界的なデザイナーサミーナ・ムガールさんにパリコレのゲストモデルとして招待されたのです。

パリコレで着るドレスは、成人式のド派手衣装で知られる福岡県の貸衣装店「雅」に依頼して着物の生地で作った特注品です。
<菜桜さん>
Q夢を教えてください
「みんなが笑顔になれるモデルになりたいです。笑顔でピース」
<菜桜さんの母・由美さん>
「叶うといいね」
<菜桜さん>
「がんばります」

母と手を携えてつかみ取った夢の舞台。菜桜さんは、3月2日、憧れのランウェイを歩きます。
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