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【ウィンタースポーツと静岡】県勢は4大会連続で五輪出場。雪のない県でも選手は育つ!?

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「ウィンタースポーツと静岡」。先生役は静岡新聞の寺田拓馬運動部専任部長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年2月8日放送)
 
 (寺田)スノーボード女子アルペン種目で、浜松いわた信用金庫所属・掛川市在住の三木つばき選手が1月25日、スロベニアで行われたワールドカップパラレル大回転で今季初優勝しました。

三木選手は2003年生まれで、まだ20歳なんですね。長野県で生まれて、5歳のときに掛川に移住してきました。スノーボードの模範を示すデモンストレーターだったお父さんの影響でスノーボードを始めました。小学6年生でプロになったんです。

(山田)すごいですね。以前この番組にも出演されましたが、雪が降らないまち掛川出身のスノーボーダーっていうところで注目されてますよね。

(寺田)18歳のときに2020年北京五輪のパラレル大回転で9位になり、2023年の世界選手権で日本人初優勝を果たした、期待の選手なんです。毎年1月に、スポーツ界で優秀な成績を収めた静岡県関係の選手、指導者や尽力した功労者をたたえる静岡新聞社・静岡放送スポーツ賞を発表していますが、今年の「スポーツ大賞」にも輝いています。

三木選手は今季好調なんです。昨年は世界選手権に勝ちましたが、今季は非五輪種目のパラレル回転を含めて、ワールドカップ8試合中5試合で表彰台に上がってるんです。

(山田)すごいじゃないですか。

(寺田)次のオリンピックというと、冬季は2026年のミラノ大会で、ここでの活躍を期待されているところです。

(山田)僕が話を伺ったのは昨年の夏ぐらいだったんですが、2023年はスノーボードでそんなに大きな大会がなく、2024年は大きな大会が続くので、そこで結果を残したいと話されていました。

(寺田)その目標の先に2026年ミラノ大会があると思うので、そこに向けて順調に仕上がってきてるんじゃないでしょうかね。

(寺田)今日はウィンタースポーツの話をしていきたいと思うんですが、ウィンタースポーツの共通点って、わかりますか。

(山田)ウィンタースポーツの共通点?雪…

(寺田)全てが雪か氷の上で行う競技なんです。雪か氷の上でで滑走するってことは共通しているんです。

スキーブームがありましたが、ブームの火付け役になった日本の映画といえば、何か分かりますか?

(山田)分からないです、何でしょう?

(寺田)「私をスキーに連れてって」ですね。1987年の作品で、僕はその当時中学生でした。高校生、大学生になって友達と一緒にスキー場に行ったりすると、ヒロインの原田知世さんと同じ真っ白のウェアを着てる女の子が大勢いましたね。

(山田)影響されて、皆さん白いウェアを着るんですね。

(寺田)わが家は家族で、毎年スキーに行っているんですが、子どもたちは全員滑れるんですよ。下の子を私が抱っこして、上の子に教えながら滑っていました。

雪の上で滑れるのは科学の力のおかげ!

(寺田)ウィンタースポーツも科学の力を利用しているんですよ。

(山田)「滑る」っていう部分がありますからね。

(寺田)今までもいろんな競技で、スポーツは科学だというのを紹介してきました。一般的にアルペンスキーで加速するために使う力って何ですか。中学の理科で習います。

(山田)…ごめんなさい、教えてください(笑)。

(寺田)位置エネルギーです。リフトやゴンドラで高いところに上がります。これで位置エネルギーを作っているんですよね。位置エネルギーを運動エネルギーに変えるだけで、滑るために特別な力はいらないんです。水が高いところから低いところへ流れるように滑走していれば良いだけなので、基本的にスキーで加速するのに体力はいらないんですよ。

一方で、滑走するのに、敵になる力、つまり邪魔するものって何だと思います?

(山田)摩擦ですか。

(寺田)その通りです。空気抵抗もあるんですが、重要なのは摩擦の力です。この摩擦を減らすために、スキー板にワックスを塗って、滑りやすくしたりします。雪の状況に合ったワックスを選んだりしていて、これも勝負の重要なポイントになります。

(山田)そういうことをやっているんだ。

(寺田)ただ、摩擦って味方にもなるんですよ。摩擦の力を使って、スピードを調整する。これには技術や体力が必要です。

(山田)止まるときとか、カーブでは必要なんですね。

(寺田)僕が子供たちにスキーを教えるときは、まず手を広げて飛行機になってと言うんですよ。その片方の手を下げることで重心を移動して、荷重をかけるとそちらの板に摩擦がかかり、手を下げた方に曲がっていく。摩擦力が少ない方の板が速く滑り方向が変わるんですね。ターンをしたりとか、スピードコントロールをしたりするには摩擦の力が必要なんですよ。

カーリングもそうですよね。ブラシで氷をこすって何をしているかというと、摩擦の力をコントロールしています。

静岡が「ウィンタースポーツ王国」!?

(寺田)静岡には、競技会ができるような本格的なスキー場はなく、通年やっているスケートリンクもないんですよね。

(山田)毎回、仮設でできる感じですよね。

(寺田)かつては、スケートリンクはもう少しあったんですよ。静岡市のヤングランドにあったし、焼津市にもありました。以前、取材して調べたことがありましたが、その後新しいスケート場ができたという話を聞かないので、今あるのは浜松にある10月末から5月初めくらいまでやっている屋内スケートリンクぐらいだと思います。

でも実は、静岡はウィンタースポーツ王国なんですよ。

(山田)いや、そんなわけないでしょ。

(寺田)雪が降らない県なんですが、県勢は4大会連続で冬季五輪に出てるんですよ。

三木選手が出場したほか、2022年北京大会には男子モーグルの杉本幸祐選手(袋井市出身)も出場しています。ショートトラックの伊藤亜由子選手(浜松工業高出身)は2010年の大会から3大会連続で出場しました。だから4大会連続で県勢がオリンピックに出ています。雪の降らない県でそういうところはあまりないと思います。

でも、暖かい県だというハンデはあり、県内で十分な練習は積めないですよね。私が以前取材した、スノーボードハーフパイプの片山来夢選手(焼津市出身)は、2018年の平昌大会のハーフパイプで7位入賞したんですが、彼は中学生のときからスノボ留学で親元を離れて競技に打ち込んだそうです。

(山田)静岡出身だけれど、雪が降るところに行ってという形が多いのかもしれないですね。

(寺田)スノボでもスキーでも滑走するだけではなく、空中で技を決める種目ってありますよね。片山選手がやっているハーフパイプという種目は、半円筒状のコースに壁があって、ジャンプを繰り返すという競技なんです。自分の姿勢をどうやってコントロールするかが重要です。

選手は自分で考えて技を作るんですが、片山選手に聞いたら、イメトレくんという人形を使っているそうなんです。

(山田)イメトレくん?

(寺田)手のひらに乗るような人形なんですが、それで寝る前や移動中に、新しいアイデアを思いつくと、イメトレくんをひねってみたり回転させたりして、イメージしているそうです。回るときにはどういうふうにしたらいいか、考える時間があるんですよね。

一流選手というのはイメトレも重要で、三木選手も「雪から離れる時間が長いから新しいアイデアが生まれる」と言っています。静岡をすごく愛しているんですね。

(山田)雪の中にいるだけじゃ気づけないことがある。だから静岡出身のウィンタースポーツのアスリートがいるってことですね。

サポート体制が整えば選手は育つ!


(寺田)フィギュア王国って何県か知ってますか?

(山田)愛知県。

(寺田)その通り。女子選手で、世界で初めてトリプルアクセルを決めた伊藤みどりさんをはじめ、浅田真央さん、安藤美姫さん、宇野昌磨選手はみんな愛知県出身なんです。愛知県は静岡県と気候が変わらないと思いませんか。なぜ、フィギュアなんでしょう?

名古屋には、昔から通年のスケートリンクがあったそうなんです。リンクがあるから、指導者もいるということです。

以前、私もフィギュアスケートの取材で愛知県に行ったんですが、スケートリンクの脇で、小中学生の選手がおにぎりを頬張ってるんですよ。指導者の方になぜか聞いたら、どれだけ長い間、氷の上に乗ってるかが勝負なんだそうです。

(山田)へえー。

(寺田)学校が終わるのを親たちが待ち構えて、車に乗せてスケートリンクに行く。スケートリンクには使用時間の制限があるので、次のリンクへハシゴする。その合間におにぎりを食べるということです。

静岡ではサッカーや水泳なんかは施設が整っていますが、サポート体制を整えれば、やはり有望選手が出てくるんですよね。

(山田)静岡はスキー​場が2カ所しかないですが、施設ができたら変わるかもしれない。

(寺田)以前、スケートの取材で岡山県に行ったんですが、冷凍倉庫の2階がスケートリンクになっていました。冷やしていることを有効活用しています。

考えてみると、静岡にも焼津、清水、沼津などの漁協にはそういう冷凍倉庫がいっぱいあります。スキー場を増やすのは難しいかもしれませんが、スケートリンクだったら、ちょっと知恵を使えばできるんじゃないかと思います。

(山田)何か、未来がありますね。

(寺田)せっかくスキーやスノーボードで県勢が活躍して、発展の芽が出てきているので、胸を張って「静岡はウィンタースポーツ王国だ」と言える日が来るのを願いたいですね。

(山田)雪が降らないと笑われたくないですよね。「いやいや待ってよ」と言いたいですね。今日の勉強はこれでおしまい!
シズサカ シズサカ

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