
“ごみ”の塗料で利益も生み出す!職人が考えたフリマサイト 年間廃棄量は一斗缶で約660万缶も 値段は新品の半額以下に【SDGs】
建築の現場で壁などの塗装に使うペンキや塗料。余った塗料の多くが捨てられているのをご存知でしょうか。静岡県沼津市の塗装会社が塗料をごみにせず、さらに利益まで生み出す仕組みを考えました。

住宅の壁の塗り替え作業。戸建て住宅の塗り替えでは、下塗りから上塗り、さらに色の違いなどで、たくさんの塗料を使います。
<塗装職人>
「(一斗缶で)10缶以上いくと思います。種類も1、2、3、…7種類くらい」
しかし、用意した塗料を使いきれず、余ることがほとんどだそうです。

<塗装職人>
Q.職人にとってペンキが余ってしまうのは?
「上塗り塗料は、次の塗り替えが同じ色じゃない可能性が圧倒的に高い。それが在庫になっちゃう。ある程度、消費期限もあるので過ぎてしまうと廃棄する形をとらざるを得ない」
沼津市にある塗装会社の資材置場です。20か所前後の現場から集めた“余ったペンキ”を保管しています。

<横尾塗装 横尾聡社長>
Q.缶の横を見てもいろいろな種類がある。どれくらいある?
「塗料のグレードが(各社)30種類くらい。メーカーによって、塗料の種類は一緒でも色が違う」

国内の大手メーカーは約20社。色の種類は約600種類もあります。
<横尾塗装 横尾聡社長>
Q.小さな缶がある。小さな缶で買えば余らないんじゃないですか?
「小さい缶2個で、一斗缶1本と同じ価格になる。小さくていいけど価格が跳ね上がってしまう。一斗缶で仕入れざるを得ない」
塗料が足りなくなると工事が遅れる恐れもあるため、業者は余裕を持たせて一斗缶を購入する傾向にあるそうです。

ペンキにも消費期限があり、約1年。消費期限を過ぎたペンキは産廃業者に処理費を支払い、焼却処分されます。全国で1年間に廃棄される塗料は推計11万トン(2016年度)。一斗缶にして約660万缶に上ります。

そこで、横尾さんが考えたのが余った塗料を塗装業者が直接売買するマーケット。いわば塗料のフリマサイト。サイトの名前は「主役は塗装職人」です。日本全国の塗装業者が余った塗料を出品し、売り買いします。
<横尾塗装 横尾聡社長>
「現在、250点くらいの塗料がアップされています」
現場でペンキが余ったら、色や残りの量、消費期限などを入力して商品情報をアップします。余った塗料の値段は、新品の半額以下です。

<横尾塗装 横尾聡社長>
「塗装職人たちの現状が、このサービスを使って生活が豊かになり(塗装業を)目指してくれる若者が多く現れ、環境に対しても良くなる業界になっていく。このサイトがそれを担えれば、それが一番」
これまで廃棄されてきた塗料をリサイクルし「つくるメーカーの責任、塗料をつかう現場の責任」を果たそうとしています。
ロシアによるウクライナ侵攻以来、塗料をはじめ、あらゆる資材が高騰し、塗装業は厳しい環境にあります。塗料を売りたい人は廃棄コストを減らし、さらに販売してお金にする。買いたい人は、塗料の仕入れ額を抑えることができるのがフリマサイトの魅力です。今後は、掲載する商品数を30万点くらいまで増やして、塗料のリサイクルを進めることを目指しています。
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