ジュビロ磐田OBの太田吉彰さん「スピードだけで生き抜いてきた」18年のプロ生活を振り返る!
山﨑:太田さんのプロフィールを紹介します。太田さんは浜松市出身の40歳。ジュビロ磐田ユースから2002年にトップチームに昇格。2009年に一度磐田を退団し、ベガルタ仙台を経て、6年ぶりに磐田に復帰。2019年に現役を引退しました。現在はSBSテレビ「みなスポ」に出演、DAZNの解説者としても活躍しています。
ヒデ:サッカーはいつから始めたんですか。
太田:小学校1年生からです。清水エスパルスでもプレーした太田圭輔という兄の影響ですね。小学校6年の頃からジュビロのスクールでお世話になり、中学はそのままジュニアユースに。でも、試合に出られるか出られないかの瀬戸際で、ユースはギリギリで上がることができました。
高校1年、2年時はレギュラーではありませんでした。ただ、足が速かった(笑)。結局それだけで現役も18年、生き抜きましたから。スピードだけですね。
ヒデ:他のスポーツでも大成されていたのでは。
太田:プロになって、ほぼ全選手から「お前、やる競技間違えたんじゃないの?」って言われました(笑)。本当に、これだけはもう親に感謝しかないですね。兄貴もそういうプレーヤーだったので。兄弟そろって全く一緒ですから。
「誰かにぶち抜かれたら引退しよう」
山崎:印象的な試合は。
太田:デビューしてすぐの新潟戦ですね。
僕が入った時、ジュビロはめちゃくちゃ強かったんですよ。ほぼ負けた試合を見たことがないチームだったので、2年間全く試合に出られなかったですし、ベンチも入れない状態でした。
3年目の最後、「これでダメだったらそろそろかな」っていう時に、新潟とホーム戦がありました。デビュー戦はその前週、国立競技場で行われたFC東京戦なんですが、その後の新潟戦はいまだに覚えています。ファーストシュートが入っちゃったんですよ。しかも難しい角度から入ったんですよ。
ヒデ:やっぱりもってますね。引退を決意したきっかけは?
太田:ジュビロで引退っていうのは、ベガルタ仙台から帰ってきた時に決めてました。絶対地元でやめるんだっていう思いがあったので。足だけで生き抜いてきたので、誰かにぶち抜かれたら引退しようと思ってました。
ヒデ:誰だったんですか。
太田:それが、ぶち抜かれなかったんですよね。
ヒデ:キャリアとしてはもう十分やったなということですね。
太田:そうですね。十分やったので。すごく地元に応援していただいてたので、引退セレモニーには友達がたくさん来てくれましたし、それが本当に良かったですね。
「好調の選手を使え」
ヒデ:2002年の、ほとんど負け知らずのジュビロを知っている太田さん、現状はJ2ですよ。どう思われてますか。太田:私はJ2も経験してるので難しいリーグっていうのはもちろん分かっているんです。でも、いるべき場所じゃないですね。
ヒデ:リスナーから質問です。「これからの戦い方について。後藤啓介選手、古川陽介選手、藤川虎太朗選手ら若手は先発ではなくて、後半のスーパーサブ的な立ち位置で使う方が良いと思いますが、太田さんはどのようにお考えですか」。
太田:もう残り4試合ですし、調子がいい選手が出た方がいいと僕は思います。シーズン最初だったらチームを育てるっていう面もあるので、多少の若手起用はもちろんあるとは思うんですが、今は実力勝負。
調子がいい選手がスタートに出てかないとチームに勢いが乗らないですし、先制点が大事ですよ。
静岡ダービーで感じたエスパルスの執念
山﨑:前節の清水エスパルスージュビロ磐田について、太田さんの見解は。
太田:試合を上から見て、ゴール前の清水エスパルスの執念っていうのを感じました。先制した後、絶対に決めさせないんだっていう強い気持ちをものすごく感じましたね。
ヒデ:磐田の気持ちを上回っていたように見えたと。
太田:もちろん磐田の選手はすごく攻めてたし、同点や逆転を狙っていたところはあるんですけど、清水はホナウド選手や、途中から出場した吉田豊選手が本当にすごかったです。
ああいう執念って、先制したからこそだと思うんですよ。乾選手が強引にでもシュートを打ち切ったのも大きかった。あの先制点からものすごく感じましたね、「絶対勝ち切るんだ」っていう気持ちは。
ヒデ:乾選手の守備もよかった。左にいた磐田の後藤選手をかなり意識して、パスを出させないようにポジションを取ってたように見えたんですよ。随所にベテランならではの勝負強さみたいなのが見えました。
太田:すごく感じました。声でもチーム全体をコントロールしていました。行くタイミングとかもすべて指示をしてましたし。
ただ、残り4試合どうなるか分からない。両チームにとって、ここからさらに重要な試合になります。
ヒデ:こういう時に選手間では、どんな話し合いをするんですか。磐田は、4位っていうのは一番モヤモヤすると思う。
太田:僕も実はJ2で全く同じ経験をしてるんですよ。2位をずっとキープしてて、福岡がずっと追っかけてきてたんですよ。本当に嫌で、でも選手はそこまで気にしてないと思うんですよね、正直なところ。もうやるべきことが決まってるんで。
清水と磐田のキーマンは?
ヒデ:キーマンを挙げるとしたら?太田:エスパルスは絶好調の乾選手がキーマンですよね。
ジュビロはジャーメイン良選手。前節のエスパルス戦で、ゴールに向かっていく姿勢を一番見せてくれたのがジャーメイン良選手でした。ああいったプレーがチームを勢い付ける。
ヒデ:しびれる試合はここからですよ。
太田:本当に楽しみですね。やる方はたまったもんじゃないですけどね(笑)。昇格するかしないかって、天国と地獄みたいな感じなんで。
今の自分にしかできないこと
ヒデ:今の太田さんは、小学生対象のサッカー教室開催などいろんな活動をされています。太田:僕自身まだまだ元気で体も動くので、現役時代と変わらずに教えられるという自信が少しありまして。小学生をぶち抜くぐらいは。容赦なく、手加減しないので。
ヒデ:こんなもんかと思わせちゃったらダメですからね。
太田:そうですね。子供を教えるって本当楽しいんですよ
ヒデ:やっぱり静岡の子も、さらに成長して上手になっているんでしょ。
太田:いやあ、レベルが高いです。今ネットで全部見られるじゃないですか。僕の小学校の頃と時代が全然違うんですよ。残念ながら「Jリーグ見てる?」って聞くと「見てないけどプレミアリーグとかスペインリーグとか見てる」ってみんな言うんです。好きな選手や憧れている選手も、海外の選手が結構多くて。
ヒデ:だからこそ、やっぱりすごいなって思わせなきゃいけないですよね。
太田:地元でもっともっと貢献できるようにやっていきたいですね。今後の目標として、静岡のスポーツを盛り上げていきたいですね。サッカーの楽しさやスポーツの楽しさを伝えていけたらいいなと思います。それが今の自分にしかできないことなので。
サッカー大好き芸人、ペナルティ・ヒデと、サッカー中継のリポーターとしても活躍する鬼頭里枝の2人がお送りする番組。Jリーグから海外サッカー、ユース世代、障がい者サッカーなど幅広くスポットを当て、サッカーを通して静岡を盛り上げます。目指すは「サッカー王国静岡の復権」です!