ジュビロ磐田と藤枝MYFCの“三国決戦”を番記者が振り返る。勝敗を分けたポイントは…。
磐田が4-1で勝利
鬼頭:まずは試合を振り返りましょう。藤枝が前半6分、渡辺りょう選手のゴールで先制。しかし前半20分、ジュビロの金子翔太選手が自ら得たPKを決めて同点に。さらに、アディショナルタイム3分、ゴール前のこぼれ球に反応した上原力也選手が頭で合わせ、勝ち越しに成功します。ジュビロの勢いは止まらず、後半3分に再び金子選手、後半41分にはジャーメイン良選手がゴール。ジュビロが4−1で勝利しました。
〈金子選手のインタビュー〉
「監督から『もっとシュートを打て、足を振れ』と言われていて、そうしないとゴールは生まれないという自分なりの分析もありました。ゴールを狙って数字を出すというところは、今できていると思います。」
〈ジャーメイン選手のインタビュー〉
「押し込まれて苦しい展開でしたが、チャンスはあると思っていました。お客さんもたくさん入ってましたし、藤枝も勢いを持っていたので、アグレッシブなゲームになったかなと思います。」
ヒデ:まずはスタジアムの雰囲気を聞きたいです。
名倉:ヤマハスタジアムで今年最多の1万3688人が入って、席がほぼ埋まった状態でした。選手も良い雰囲気の中で試合ができて嬉しかったのではないでしょうか。
ヒデ:寺田さん、紫色のサポーターはどうでしたか。
寺田:アウエーとしては今季最多のサポーターが駆けつけていました。藤枝のサポーターもヤマハスタジアムの雰囲気を楽しんだことと思います。
前半は藤枝のゲームだったが…
ヒデ:そんな中、藤枝MYFCの先制点は衝撃的でした。岩渕良太選手のワンタッチ、それがしっかり通ってからの渡辺選手のゴール!寺田:その前は、横山暁之選手のパスからでした。前線の3人が絡んだ素晴らしいゴールでした。前回は渡辺選手が退場してチームも負けてしまいました。渡辺選手は悔しい思いがあって、髪色もシルバーに変えてこの一戦に臨んでいました。やってくれたって感じでしたね。
〈渡辺選手のインタビュー〉
「最高の舞台で勝てず、自分自身まだまだ力が足りないなと痛感しました。こういうゲームを経験した選手たちが今後どれだけ伸びていけるかだと思うので、次は必ず勝って皆さんを喜ばせたいと思います」
鬼頭:渡辺選手は13ゴール目ですって。
ヒデ:落ち着いてましたね。今後もどんどん量産していくんでしょうね。一方、名倉さんは「ヤバ」って思いましたよね。
名倉:最初はどうなってしまうのかなと。立ち上がりの一番重要な時間帯に失点して、何点取られるんだろう、と思ったのが率直な気持ちでした。
寺田:前半は本当に藤枝のゲームだったんですよ。藤枝がずっとボールを保持していて、磐田はPKがファーストシュートとかで。
名倉:磐田はシュートを打てていなかったですね。押されっぱなしで。
ヒデ:藤枝はしっかり準備していましたね。そんな中の痛い失点でした。
磐田は後半から出力全開に
ヒデ:ジュビロは前半のうちにリードして終わることができたのが大きかったのでは。
名倉:そうですね。金子選手はPKを獲得する狙いではなく、倒れずに行きたかったと言っていましたが、結果オーライですね。2点目の上原選手のダイビングヘッドも気持ちがこもっていました。
あの時はボックス内に4〜5人いたのかな。上原選手が触れなくても他の誰かが押し込んだのでは。しっかりと人数をかけて攻めていたのが印象的でした。
ヒデ:あそこで試合をひっくり返しておかないと、きついぞという展開でしたか。
名倉:藤枝が前半ボールをだいぶ握ってましたし、同点で後半だとなかなか厳しい展開になったんじゃないかと思います。
磐田にとっては3点目が大きかったですね。後半立ち上がりの一番重要なところでしっかり前からプレスにいきました。磐田はミドルブロックで構えることが多いのですが、ハーフタイムに「前から行こう」と話をしていたようです。金子選手がしっかりゴールに詰めていて、パスミスを見逃さなかった。
藤枝はゴールキーパーを軸に後ろから繋いでいくので、そこをチームとしてしっかり狙うという意思統一ができていたようです。
ヒデ:ジュビロは献身的に動いていた感じがありますね。藤枝は後半早々に点を取られたっていうのは、やっぱり大きいですよね。
寺田:今日も練習で選手の話を聞いてきたんですが、1-2だったらまだ分からなかったと言ってました。磐田は前半はミドルブロックを敷いていたのに、次の1点が勝負だと考えて後半ギアを上げてきた。2-2になるか1−3になるか、そこの勝負どころで判断を誤ってしまったと悔やんでいましたね。
ヒデ:そして磐田の4点目はジャーメイン選手。
名倉:その前のクロスを出したドゥドゥ選手も粘って粘って、中央に折り返して。前線の選手がすごくいい形で機能したことが4点目に繋がったと思います。
魂のこもったゲーム
ヒデ:藤枝は負けたにせよ、魂は出ていましたね。点差はさておき、試合としては非常にアグレッシブで、藤枝のサポーターも納得したんじゃないかなって思うんですが、いかがですか。寺田:藤枝らしさは十分見せたと思うんですよ。後半も攻撃的な選手を入れて、前線の選手を増やして攻め立てましたが、やはり勝負どころで…。上位の磐田と10位の藤枝の差はそこにあるかなと実感したゲームでもありました。
名倉:局面ごとのバトルが激しくて、観ている人もエキサイティングなゲームだったんじゃないかなと思います。横内監督も「戦う姿勢を見せてくれた」と言ってましたし、納得のいく試合だったと思います。
鬼頭:ジュビロの横内監督は6月の月間優秀監督賞を受賞されました。
名倉:6月は公式戦6試合で5勝1分け。負けなしで、文句なしの受賞です。
磐田は指揮官の地道な取り組みが奏功
鬼頭:もう26節が終わりました。1位は町田ゼルビアで1試合少ないですが勝ち点54、ジュビロ磐田は2位で勝ち点47、そして藤枝MYFCが10位で勝ち点35です。ヒデ:当初は2位に磐田が来るとは…。願ってはいましたけれど、選手を補強できないことをすごく心配していました。
名倉:そうですね。補強ができない状況でよくここまで踏ん張ってくれているなと思います。
ヒデ:好調の要因って何が考えられますか。
名倉:地道な取り組みを横内監督がキャンプからやっていました。球際とか、切り替えの速さとか。
難しいことはやっていないと思うのですが、選手1人1人が徹底していて、この夏の7連戦もしっかりターンオーバーできるぐらい選手層が厚くなりましたし、選手も監督を信頼しきっているのが分かります。
ヒデ:ここからのキーマンは誰ですか。
名倉:最近出場時間が長くなってきた古川陽介選手に期待したいと思います。
鬼頭:若い選手が成長してる点がジュビロは素晴らしいですね。
名倉:後藤啓介選手もいますし、同期入団の藤原健介選手もいますし、五輪代表候補の鈴木海音選手もいます。若い選手をしっかりと横内監督が鍛え上げて、強くなってるなと。それに負けじとベテランも奮起してますし、良い循環が生まれているなと感じますね。
リーグ後半戦、藤枝のキーマンは久保!
ヒデ:さあそして藤枝MYFCですよ。現在10位、決して悪くはないけども不本意だと思います。
寺田:ホームで大敗したりしているので、頑張ってほしいです。
ヒデ:藤枝は僕の好きなサッカースタイルなんですよ。攻めて攻めて。やっぱりホームで勝てないとストレスも溜まってくると思いますが、チームの雰囲気は良さそうでしたね。その中で、キーマンとなるのは?
寺田:久保藤次郎選手に期待したいと思います。彼も一皮むけているところです。縦の突破が武器だったのですが、最近は中に切れ込んでのシュートも披露しています。先日は左足でシュートも決めているんですよ。縦にも行ける、中にも切り込めるとなると、無双になってくる。
ヒデ:なるほど。これは期待したいですね。藤枝もまだまだこれからですよ。
サッカー大好き芸人、ペナルティ・ヒデと、サッカー中継のリポーターとしても活躍する鬼頭里枝の2人がお送りする番組。Jリーグから海外サッカー、ユース世代、障がい者サッカーなど幅広くスポットを当て、サッカーを通して静岡を盛り上げます。目指すは「サッカー王国静岡の復権」です!