変わりゆく用宗エリア ― JR用宗駅現駅舎の建て替えが決定。そして憩いの場・用宗緑地もリニューアル

すろーかる

用宗の歴史を88年間見守ってきた、レトロな駅舎。

“赤い屋根に白い壁、ちょこんと覗く屋上のステンドグラスの塔”。

HERE AFTER PROJECT with 用宗駅

ノスタルジックな雰囲気が残る港町・用宗。そんな街を象徴するようなJR用宗駅のレトロな駅舎は、世代を超えて愛され、地元の方の思い出が詰まった特別な建物だった。現在の駅舎は昭和11年(1936年)に建設されたもの。誕生から88年、ついに施設の老朽化により建て替えが決定。令和8年夏頃の完成を目標に、令和6年11月から工事が始まっている。

用宗駅が開業したのは明治42年。開業当時は1日約160名が利用し、人のほかにも、鮮魚やカツオ節、モモやミカンなど地場産品の輸送に使われていた。その後、高度経済成長期になると近隣の安倍川で採取した砂利の需要が高まり、安倍川まで車で5分の用宗駅は都心部へ砂利を運ぶ輸送拠点として活躍。当時建設ラッシュに沸く、日本の発展を下支えしてきた。

昭和49年の用宗駅 撮影:鷲巣茂男氏

昭和60年に安倍川駅が開業すると、利用人数は徐々に減少。それでも近年では観光地として用宗人気が高まり、地域の玄関口として、多くの利用客を迎え入れてきた。

建て替え前の姿をデジタル化して後世に残そうと、地元のまちづくり団体『用宗を楽しくする会』が始めた取り組みが“HERE AFTER PROJECT with 用宗駅”だ。京都のJR八木駅の事例をもとに発案した本企画。レーザースキャナーと呼ばれる特殊な測量機器を使い、3D点群データで駅舎内外を撮影することで、用宗駅をデジタル空間に再現。パソコンやスマートフォンさえあれば、いつでも駅舎を訪ねられ、まるでタイムスリップしたかのような体験ができるという。

令和6年5月頃から、団体として初めてのクラウドファンディングに向けて動き出しを予定。集めた資金で、デジタルデータの映像化や点群データを用いた模型の制作などを計画中だ。

昭和・平成・令和と変化する用宗の姿を見守ってきた駅舎。新しい駅舎を待ち望むと共に、在りし日の姿を後世に伝える取り組みを、温かく見守っていきたい。

海岸沿いに憩いの場を。用宗緑地のリニューアル計画。


用宗海岸沿いに東西600ⅿ、3ブロックで構成される『用宗緑地』。マツやカナリーヤシ(フェニックス)が茂る海沿いらしい景観は、地域住民の散歩コースとして人気がある。夏場は海水浴場として解放され、近年は観光客の利用も増えていることから、緑地を管理する静岡市は民間事業者と協力し、用宗緑地をリニューアルしようと計画している。憩いの場である用宗緑地を新しくすることで、用宗エリア全体の魅力向上につなげたいと考えているのだ。

用宗緑地の様子(令和7年2月 撮影)

現段階では屋根のあるウッドデッキを新設したり、街灯を増やしたりするアイデアが上がり、市民が用宗の美しい海を望みながら、安全・快適に利用できる空間づくりを考案している。具体的な内容は、民間事業者と今後、検討。令和8年3月頃完成を目指しているそうだ。

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